年金は大丈夫?

 明らかに大丈夫ではないので、消費税が上がっていくのです。本来、年金は年金で閉じていて、税とは別物にすべきでしょうが、既に年金は破綻しているので、税を年金に注いでいるのです。今後も、この状態が悪くなることはあっても良くなることはないでしょう。消費税はますます上がる事になります。

 データを見てみましょう。まず人口ピラミッドです。下記は総務省統計局の2010年の図です。2014年が見たければ、この図の年齢軸を頭の中で4年分下にずらしましょう。傾向でよいので大局的な話しをします。

http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kouhou/useful/u01_z19.htm

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 ピラミッドとは、四角錐、平面でみれば三角形ですが、この図は明らかに三角形ではなく、65歳以上が異常に多いことが分かります。

 年金制度は下図を想定して設計されているはずです。戦後の団塊世代だけは特殊事情による多少の誤差です。

http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kouhou/useful/u01_z10.htm

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 2014年には団塊の世代のピークである昭和24年(1949年)生まれの人々が65に達します。最初の図で、60歳の所を65歳と思って下さい。そして、65歳以上の人口と、それ未満の人口を見てみましょう。恐るべき事態になることが分かります。年金を受給する人口が爆発的に増加し、それより下が女性のウエストのように括れて極端に減少しています。アラフォー辺りの人口が多いのは、団塊ジュニアです。これをみるとほとんど若者一人で老人一人を養う状況になっているのです。

 更に問題なのは、20-40歳世代がまともに就職できていないことです。つまり、年金を積み立てているとは思われない人口がかなりあるということです。下記のブログを見てください。「真の」就職率が出ています。

大学就職率の推移

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3165.html

 団塊ジュニアは200万人/年程度いますが、1973-76年頃生まれの人々が大学を卒業した1995年以降は就職氷河期と呼ばれ、65%程度しか就職できていないのです。それでは、高卒で就職しているかというと、その4年前になりますが、その辺りから高卒就職率も急速に落ち込んでいます。高卒で就職できないので大学にモラトリアム進学し、猛勉強したわけでもないので、結局、4年後にも就職できていない傾向が見て取れます。バブル崩壊し、大不況に見舞われた企業が採用を抑制し、さらに、海外展開し国内工場閉鎖、海外で雇用という事を始めた結果、日本では頭脳労働以外は不要になってしまったのでしょう。2007-2009年の就職率は持ち直しているように見えますが、2007-2009年の60歳とは、団塊世代です。つまり、この持ち直しは、団塊世代が大量に定年を迎えつつあることへの対策として少し雇用を増やしたに過ぎないのです。ですから、リーマンショックが2008年に起きなくても、2010年には再度60%に落ちたはずです。

 更に、7・5・3と言われ、3年以内に中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割以上が離職しています。この時代は、まだ人事部が一括採用している時代で、人事部はノルマを果たすために、甘い採用基準で採用しているので、結局、仕事ができない者は辞め(させられ)て行くのでしょう。この状況は、団塊ジュニア時代以来改善していないので、いまや、年金を払い込んでいる人口は半数程度ではないかと思われます(これはどこかに統計があるはずです)。団塊世代の子供である団塊ジュニアは上の図で、見事に増えていてそれと分かりますが、団塊ジュニアの子供の世代である、15歳前後は微かに増えているかなという程度でしかありません。つまりは、団塊ジュニア世代は就職できず、結婚できず、子供もいない、と読めるのではないかと思います。

 年齢65歳以上の人々は、日本が右肩上がりの黄金時代を生きていましたから、正規雇用されていて、概ね受給する資格があるとすれば、受給者の方が、積立者の人数より多いかもしれず、年金は完全に破綻していると思った方が安全でしょう。

 人口ピラミッドは更に下すぼみになっています。後20年もしたら完全崩壊の状態になると思われます。消費税は25%にせざるを得ないでしょう。