STAP論文騒動の顛末に関して

 「STAP疑惑底なし」の記事(追加  3/16)。

 http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140315070914336

 論文というものを一般の人々にも分かるように簡潔に言えば、「自分が行った発見・発明を証拠と共に自らの理念の下に自らの文章でまとめた文書」です。その観点から見ると、小保方さんの所謂、博士論文「なるもの」は、実は、女子小学生が夏休みの宿題で新聞の記事の切り抜きなどをまとめた「スクラップブック」みたいなものなのです。自分の研究理念や背景を自分で考えずに、世界最大の化学、生物の研究所である米国のNIHの解説を、しかもあろうことか博士論文に「素人向け解説」を盗用し(早稲田の論文審査団は、ここで、こんなものが博士論文?と気が付くべきですが、読んでいないのでは仕方ありません)、証拠となる図はあちこちの研究機関のホームページから盗用して貼り付けている。実験の証拠写真は捏造。そのようにして出来上がったものは論文ではなくスクラップブックに過ぎません。ただし、小保方さんの場合、スクラップブックと違って性質が悪い事に「自分の文章、画像」のふりをするために、出所を記さず、さらにはそれらを改竄し、盗用していることです。

 しかも、博士論文だけではなくNatureの論文も同じ方法で空想的に創造されています。どうも、この人は妄想型の虚言癖があるのではないかと思います。論文がこれでは、当然、実験もまともにはされてはおらず、従ってSTAP細胞は妄想が生み出した空想的産物なのでしょう。何より、証拠となる写真が捏造なのです。小保方さんはこれ以上、嘘の上に嘘を重ねず、真実を騙る語るべきでしょう*(冗談ではなくMS-IMEの変換です。)。

 *: 小保方さんはこれ以上、嘘の上塗りは止めた方がよい。すぐにバレる嘘をつき、その嘘を糊塗するために、更に嘘をつき続けている状態になっています。下記にいうような博士論文の下書きを本人以外が持つ、まして印刷業者に渡るなどということはありえないでしょう。印刷に廻す場合、印刷業者とは表装をどうするかなど色々な打ち合わせをします。うっかり下書きを持ち込んだとしても、その時にでも気が付くものです。というより、渡す前に最後の確認をするものです。博士論文は国立国会図書館に収納される重いものです。百歩どころでなく兆歩譲って、もし下書きだとしても、製本が出来上がってきた時に嬉しくて見直すでしょう。その時、間違えていれば分かります。通常の神経を持っている人間なら青くなって差し替え手続きするものです。異常な人ですね。

 そもそも、審査を通った論文が別にあるのなら、当然の事として審査団4名の教授が持っています。また、彼らが真実を知っていますので、このような虚偽はすぐにバレるではありませんか。通常なら博士論文は執筆の過程や、正式に受理されるまえに、主査の教授と何度も重ねて打ち合わせをし、評価してもらい、推敲を重ねて行きます。運悪く優秀で本物の研究者である教員に師事してしまうと、これがなかなか通らないのです。何度も何度も考え直し、実験のし直し、書き直しをすることになり、場合によっては留年してOKが出るまで書き直しになります。そして、本物の研究者に育って行くのです。しかし、運よくいい加減な似非研究者で、なぜ教授でいるか分からない教員につくと、すぐにOKが出てあっという間に博士になることができます。その後の運命は今回の事件をみていれば明らかです。

 とにかく、主査の教員の評価を受け、これで良しとなれば、審査団を決めてもらい、審査団にも予備的に数度は見てもらうでしょう。そして、良しとなれは、正式の記録に残る予備審査し、それにを通れば、本審査に提出するために印刷することになります。数十万円を使って印刷した後の本審査で落ちたら印刷費が無駄になるように思いますが、実は「予備審査」が実質的本審査なのです。いきなり本審査で落ちないように、審査団は予備審査できっちり審査しておくのです。本審査は形式的なものになります。このような過程で厳重に審査される博士論文が「審査に合格したものではなく下書き段階の物が製本され」るはずもありません。それとも、早稲田大学では博士号の授与はこんなに厳重ではなく、主査の教授も審査団も、誰もまともに読みもしないで外形的間違いを持ったままでさえ通っていくのでしょうか。

  以下はウォールストリートジャーナルへの小保方さんのメールに関する記事です。早稲田の広報担当も呆れかえって、そっけない対応をしていることが分かります。

「小保方氏は電子メールで『現在、マスコミに流れている博士論文は審査に合格したものではなく下書き段階の物が製本され残ってしまっている』と説明。

 さらに、下書き段階で参考のために転載した文章や図表が引用も訂正もなく、そのまま残っていると述べた。大学側には、小保方氏が下書きだとしているこの論文の撤回を要請したという。

 早稲田大学の広報担当者は、そのような要請は認識しておらず、別版の博士論文についても知らないと述べた。2014年 3月 14日 13:44 JST

 -- http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304730304579438263049340856.html

---- 注記終わり

 

 さて、本日、理化学研究所が報告会を開き、野依理事長が中間結果を発表しました。

  http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1400V_U4A310C1000000/

 しかし、Dr.は、理研が謝罪する必要はまったく無いと思います。当然、理事長の責任問題もありません。

 企業においては、「管理責任」というものがあって、部下が起こした不祥事で上司が責任を取ることは普通のことですが、大学やそれに準じる研究機関には「学問の自由」というものがあり、在籍する研究者が論文を投稿する場合、基本的に本人の責任で行なわれるからです。その本人に虚言壁があるとこうした面倒なことになるわけですが、あくまで責任は虚偽の論文もどきを書いた本人のみにあります。

 企業では、論文、口頭発表を問わず内部組織で厳重に発表を管理されます。これは、重要な企業秘密である技術が漏れてしまわないための、「自己の利益保全」のための措置であり、論文の信憑性などを担保するための措置ではありません。今現在、東芝のNAND型フラッシュメモリーの企業機密が漏洩した産業スパイ事件が報道されていますが、悪意の無い技術者がうっかり先走って学会発表などをしてしまわないための防衛的管理システムなのです。世の為人の為の管理ではありません。

 翻って、大学など研究機関では、そのような措置は講じられていません。理研がそうしているかどうかは詳らかではありませんが、恐らく研究者の発表管理などはしていないでしょう。していない管理の管理責任などあるはずもありません。理研まで企業のように研究者の発表管理を始めたら世も末です。あくまで研究者個人の責任なのです。

 今回の事件は、心無い一人の似非研究者の起こした事件にすぎません。そのような者を雇用した人事委員会に責任があるという意見もありますが、そこまで見ることができるわけがありません。本人以外に、責任があるとしたら、博士論文を慎重に審査もしないで、博士号を授与した早稲田大学の論文審査団にあることでしょう。雇用時に理研が博士号まで疑って博士論文を人事委員会で審査するなどということはありえません*。博士号とはそのような重みがあるということです。それを軽々しく扱った審査団は猛省しなければなりませんし、大学院教員資格剥奪などの何らかの処分をうけるべきでしょう。

 *:世には、インチキな博士号を金を払えば発行してくれる「degree mill:博士号発行工場」という組織があって、早稲田大学吉村作治元教授がもっている博士号がそれであると、話題になったことがあります。博士号を審査する場合、degree mill発行の博士号かどうかを見る程度はするでしょうが、内容まで踏み込むことなどありえません。今回の事件で、degree millのブラックリストに[Waseda University]が掲載されなければ良いのですが。

  http://degreemill.exblog.jp/d2008-01-24/

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 追記:

 ■米研究者たちの「最大の疑問」

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「博士論文の画像流用や他論文の文章盗用などの問題で、指導教官や周囲の研究者たちの 誰もが気づかなかったことに驚いています。実際、小保方氏の博士論文の約20ページが米国立衛生研究所 (NIH)のサイトとほぼ同じ、つまりコピーペーストしたというニュースが流れてきました。このニュースには、さすがに同僚の研究者たちも呆れてしまいました。ハーバード大の博士論文では、コピーペーストしてもすぐにボスに見つかります。彼らの一番の疑問は、「どうして博士論文の審査で見つからなかったのだろうか」という点です。

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■博士号を“乱発”してきた日本

 そもそも、米国と日本では、博士号の品質が大きく異なります。2011年4月20日付 の『Nature』誌に、日本を始め中国、シンガポール、米国、ドイツ、インド、など世界各国の博士号の問題点が論じられています。

【The PhD factory,Nature,April.20.2011】

 その中で、日本の博士号のシステムは危機に陥っていて、すべての国の中で、日本は間違いなく最悪の国のひとつだと書かれています。

     ・・・

日本の場合、ほとんどの学生が、修士号取得後のわずか 3、4年で博士号を取得して卒業します。いわば、博士号の“安売り”とも言える状況です。

 しかし 米国では、政府の報告によると、大学学士を得てから博士号を取得できるまでにかかる 平均年数は10.1年で、博士号を取得できた時点 の平均年齢は33.3歳です。しかも、最終的に博士号を取得できるのは半分程度で、多くの学生がドロップアウトします。

    ・・・

医学博士・大西睦子 」

 -- http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140317-00010000-fsight-soci

2014.3.18 追記