STAP細胞論文問題:笹井氏編

 笹井氏がマスコミ会見して、また一段と一般の人には混沌とするばかりでわからない事件になってしまっていますので、普通の表現に翻訳しましょう。

 Nature論文は、小保方が共著者になってくれと言ってきたから、名前貸ししただけだよ。僕は何もしてないけど、Nature論文の数が一本増えるから業績になるし、彼女は期限付きの研究員だから、これでごますりして正規職員になりたいのだろうなあ

 これは、別に珍しいことではありません。普通にこの世界では行われていることです。大学が講座制であった時代、助手や助教授は何の疑問もなく、教授を共著者にしていました。場合によっては、筆頭著者が教授であることもありました。企業においても同様に、何の疑問もなく、研究そのものは何もしていない上司を共著者にするのです。慣行*と言ってよいでしょう。

  *:この事を茶化した小説「文学部唯野教授 : 筒井 康隆」を一読することをお勧めします。抱腹絶倒の物語です。

 とはいえ、それを大っぴらに「僕は名前を貸しただけで読んでもいない」というのは、なかなか勇気が要ります。しかし、笹井氏が、小保方氏の指導役と言われながら実は一読もしていないことは明らかです。10分でよいからぱらぱらと眺めれば、3月14日のブログで書いたように、論文の体をなしていないことに気が付きます。これは断言できます。再録しましょう:

「「引用元とNature論文を比べるとethylenediaminetetraacetic acidの略であるEDTAをEDTA(EDTA)と連続させたり、KClをKC1と無意味な言葉に変換しています。機械的方法でコピペしたからでしょうか?なぜこのようなことが起きたのかは不明です。」

 -- http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/008ac025ee1ccf4c694869f09b053ee7

 このような外形的あるいは、形式的な誤りは一読すれば簡単にみつかるものです。これはおかしい、どう考えても、キーボードのタッチミスで起きる単純ミスではない。「EDTA(EDTA)」とは、「EDTA」の頭文字語として「EDTA」を使うという意味ですが、意味をなさない。KClが塩化カリウムである事を知らないなどということはあり得ない。なぜ、KC1などということが起きたのか?という疑念が共著者方にはおきなかったのでしょうか。こういう点を、内容は理解できない(共著者が?!)としても、指摘し、納得のいく説明を聞き進めれば、今回の不祥事は防げたはずなのです。」

「小保方氏に実験ノートを持ってこさせることができなかった」という説明についても、研究者同士ならあり得る話だと理解はできる。

  http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/140417/evt14041709200006-n1.html

にしても、「あり得る話」ではないでしょう。研究者同士ではなく、非正規採用の研究者と人事権を握る幹部研究者です。論文の体をなしていなければ、当然、不審に思い、「ノートをみせてもらえるかな」位いうでしょう。「論文そのものを読んでいないのに、ノートなど読むはずもありません」と笹井氏は心の中で言っているのだと思います

 この点では、若山氏も読んでいないのでしょうし、共著者は一人として読んでいないのでしょう。

 すべては、笹井氏が、自分は読んでもいない、名前貸ししただけと言えば済むことを、さすがにそうは言えず、長々と遠まわしに言っているので、マスゴミにさらにいじられるはめになっているのです。