ハイブリッドとプラグインハイブリッドと燃料電池カー

 ハイブリッドとは「あいのこ=混血」という意味ですが、HVはガソリンエンジンと電気モータの混血車という意味です。HVと略称します。プラグインハイブリッドカー(PHV)は家庭の100vからも充電できるHVという意味で、どちらもハイブリッドですが、運用上では相当違いがでます。

  HVはエネルギーはガソリンだけです。充電池にある電気はエンジンを回し、それで発電機を動かして作った電気です。ですから、すべてのエネルギーの源泉はガソリンなのです。ではなぜ、これがエコかと言うことですが、車は無駄なエネルギーを使っていますね。加速したとたん、急ブレーキを踏むとか、都市部では加速と減速を繰り返しています。坂道を下るときは位置エネルギーを使うだけで下っていくので、ガソリンを使わないだけでなく、むしろエネルギーを取得できるのに、従来車ではエンジンが回り無駄なエネルギーを使ってしまっています。

  HVはこの無駄なエネルギーを回生制動(モータと発電機は原理的に同じ機械です。電気を注入すれば回転し(モータ)、回転力を入れれば電気が出てきます(発電機)。動いている車輪の回転で発電機を回せば電気が起きてそれを充電すれば、発電機からエネルギーを取り出すので回転に負荷がかかりブレーキングになるのです。回転エネルギーを熱として消散させるのではなく、電気エネルギーとして回生させることによる負荷でブレーキングというわけです。因みにモータは電気を注入して回転していますが、回転していることにより発電機として電気を起こしてもいます。モータはその差額だけのエネルギーしか消費していません)という方法で回収しているのです。つまりはこれまでは熱に変換して(ブレーキシューと車輪の間の摩擦熱です)捨てていた車のエネルギーで発電機を回して充電しているのです。車は時速60Kmで走っていればリッター20Km程度で走ります。減速、下りの時に失う熱エネルギーを発電機に回して充電し、時速60Kmで平坦地を走る効率以上にガソリン消費を減らして走らせようとしたものがHVなのです。実際、高速道を100Kmで走ったり、渋滞で30Kmで走ってさえ36Km/l程度でした。尤も、都市部ではそうはいかず時速30Kmで通勤しますと16Km/l程度に落ちます。

ですから、HVは電気自動車(EV)として走ることが主体ではありませんし、実際にEVモードでは数百mとか数Kmなど極めて短距離しか走ることができません。走りの無駄をなくすためだけの容量の充電池しか積んでいないからです。

 一方、PHVは車の外部からも電気を補充できます。発電機を回して無駄なエネルギー消費をせずに充電することはHVと同じですが、外部からも電気を補充しますから、コンセプトが異なってきます。つまり、EVとしても使えるようにしようという発想で設計されています。HVのはしりであるPRIUSでは、そもそも積載している電池からしてPHVはHVとは異なっていて、PHVではパソコンで使う高価なリチウムイオン電池、HVでは安価なニッケル水素電池を積んでいます。そのために、PHVでは車体自体がHVより5割高で100万円ほど高くなります(大雑把に言えば、300万円と200万円)。PHVではリッター何Km走るという概念が適用できにくいですね。入れたガソリンだけでなく、入れた電気もあるからです。所詮、ガソリンで走る分は20Km/l程度でしょう。

  HVはエネルギー消費を平坦化したエコカー、PHVはガソリンでも走れるEVと思った方がよいでしょう。

  EVは電気モータだけで動く電気自動車ですが、途中で電池がなくなったらどうするのか?という問題があります。ガソリンスタンドほど充電スタンドは普及していないからです。それに、充電にはガソリン補給より時間がかかります。最近では急速充電スタンドが目につくようになりましたし、100%でなく、80%程度の充電にしておけば、かなり短い時間で充電できるようになりました。ガソリンを満タンにして、トイレで用を済ませた時間と思っておけばよいでしょう。しかし、1回の充電の走行距離はガソリン自動車ほどはない点がまだ問題でしょう。充電池は重くて高価格なので積む量と価格と走行距離とのトレードオフがあります。

 そこで、燃料電池車が開発されつつあります。電池というものは、通常の使い捨ての乾電池と、電気を注ぎ込むことができる充電池があります。前者でEVはとても作れません。EVで使うには再生可能な電池である後者になりますが、既に述べた短所があります。もしガソリンを入れるようにして燃料を入れるとそれで化学的に電気を発生できる装置があれば充電ではなく、燃料の補給で走り続けることができる電気自動車が作れます。このような装置を燃料電池と呼ぶのです。現在は燃料として水素を使うものが実用化されています。水素と空気中の酸素で電気を起こし排気物として水ができます。残る問題は水素スタンドの普及です。燃料電池が実用になった時代がやってきたのです。