株はなぜ暴落するか

 この30年近くで起きた大暴落は1990年の不動産バブル崩壊、2000年の米国ITバブル崩壊、2008年のリーマンショックです。これらの大暴落は株式市場が自律的に起こしたものではありません。すべて政府・中央銀行の政策ーー意図ーーによって引き起こされたものなのです。

 本当の所、政府・中央銀行が要らぬ事をせずにほっておいたらどうなったか?これほどの暴落にはならず自律的に落ち着くところへ落ち着いたのではないかと思います。少なくとも政府・中央銀行がわざわざ手を出すのなら大暴落のようなハードランディングさせないで、ソフトランディングさせないと何のために手を出したかわかりません。その後、経済は低迷して長い間、国民が苦しむことになるのですから。いつまで経っても政治家・官僚は学習できない・・・といいますか、素人が玄人のふりをしてやっているのですね。

1990年1月バブル崩壊

 1980年代後半は、いわゆる土地ころがし、地上げが横行し不動産価格が暴騰していました。1986年に3700万円だった都市型3LDKマンションが、翌年、隣の土地に同じ設計で第二期工事として売り出された時には7400万円になっているような時代でした。政府が何とかして不動産価格を抑えようとしたのは当然です。しかし、不動産価格を抑えるため、経済システムを壊してしまったのです。この素人の政策のために起きた暴落と不況だったのです。壊れたシステムは容易には回復せず、その後、失われた10年、失われた20年となり、団塊ジュニアの就職時期と重なり、就職氷河期になり、20年以上経ったアベノミクスによってようやく何とかなるかもしれない所に回復するかどうかという状態になったのです。まだ予断は許されません。

 以下、引用です:

「経済学者の田中秀臣は「日銀がバブル潰しのために金融引き締め政策を行い、その結果1991年にバブルが崩壊した[7]」「日銀が金融引き締めを行ったため、市場から株・不動産を買うための資金が一気になくなり、株価・不動産価格が暴落したのがバブル崩壊の真実である[8]」と指摘している。」

経済学者の高橋洋一は「インフレ率からは正当化できないにもかかわらず、金融引き締めを行いバブルを潰そうとしたのは、日銀の失敗である。結果的にバブルではなく、日本経済全体を潰してしまったと指摘している[10]。

政府は、日銀の公定歩合の急激な引き上げに続き、不動産の総量規制、地価税の創設、固定資産税の課税強化、土地取引きの届け出制、特別土地保有税の見直し、譲渡所得の課税強化、土地取得金利分の損益通算繰り入れを認めないなどの対策を打ち出していった[12]。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB%E5%B4%A9%E5%A3%8A


2000年1月からITバブル崩壊

ITバブルは米国で起きたものです。この崩壊はFRBによる金利切り上げが切っ掛けで生じたのです;(4.75%/99.5→5%/2000.1→6.5%/2000.5)。

 株式市場の動きは政策から多少のタイムラグを伴います。なかなか利上げが効かず、株価が上昇しっぱなしになるのに焦り、切り上げを繰り返すと、急に効いて崩壊してしまうのですね。米国がくしゃみをすれば日本は風邪をひきます。日本経済も失われた10年が更に延長してしまいました。

 

2007-8年サブプライムローンリーマンショック

リーマンブラザーズ救済をブッシュ政権が拒否したことによりとどめの大暴落が起こり世界が迷惑しました。ブッシュ政権はダブルスタンダードを使ったと非難されています。


連続する経済危機
2008年3月のベア・スターンズ危機の時は救済に動いたが、9月のリーマンブラザーズの危機においては、「公的資金を投入しようと考えたことは一度もない」とリーマンの救済を拒否。このリーマン破綻をきっかけに欧米で金融危機が深刻化した。あわてて方針を一転、金融機関安定化法案を成立させたが、この一貫しない態度が市場の不信を招き、法案成立も全く効果がなく世界的な株式の大暴落を招いた。公的資金の投入拒否については、選挙の2ヶ月前という時期で公的資金投入を嫌がる国民を意識した可能性が言われている。フランスのラガルド経済財務雇用相は、「何が恐ろしかったかと言えば、リーマン・ブラザーズを破たんさせるというヘンリー・ポールソンの決断だ」と批判した。」-- ヘンリー・ポールソン - Wikipedia

 

 なるほど、一企業の犯した馬鹿な過ちのために国民の血税を使えないという言い分は子供の正義としてはそうでしょう。が、政治家はその結果を予測できなければなりません。リーマンブラザーズを救済し、注入した血税は後々回収すればよかったのです。こんな子供が米国や日本を動かしているという事を投資家は肝に銘じておかなければなりません。

 ところで、現在の日本の株式市場が崩壊する、上記のような政府・日銀による意図があるでしょうか?ありません。さて、この上昇相場に政府・日銀が手を焼き、崩壊させようとする意図を持つのはいつか?それが暴落の時です。尤も、「調整」とよぶ小さな下げは常に起こっていますが、長期を見る投資家には関係のない事でしょう。