株:上昇基調の中の下げと本当の暴落

 10月31日後場でいきなり日経平均株価が急騰しました。日銀黒田総裁が金融緩和策を発表したからです。同時にGPIFもポートフォリオにおける日本株の割合を大幅増加すると発表したので、もう暴落の心配はなくなり上昇基調に入ったのです。しかし、それでも素直には一直線で上がらず凸凹しています。11月の間、下の図のような凸凹があります。なぜ、下がるのでしょうか?「天井売れず」という格言通り、少し安くても良いから利ざやを稼ぎたいという人たちが売るからなのです。

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-- http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=998407.O&d=1m

より引用

 この下げを説明する現象が記事になっています;
97年4月以降最大の9877億円流出、国内株式ファンドで利益確定売り強まる―11月推計資金流出入

11月の国内株式市場は日経平均株価が月間で6.37%上昇と大幅高となったことから、利益確定で国内株式ファンド売却する動きが強まったとみられる。実際、国内投信における個別ファンドの純資金流出額上位を見ると、上位10ファンドのうち4本が「日経225ノーロードオープン」など日経平均株価連動型ファンドとなっており、値動きの分かりやすいインデックスファンド相場上昇のタイミングで売却する動きが強まった

 特に月初は、10月末の日銀の追加金融緩和を受けた急激な円安・株高で国内株式ファンドの基準価額も大きく上昇し、いったん売却する動きが出やすかった。11月4日、5日の2日間だけで、国内株式ファンドは2744億円の純資金流出と、11月の純資金流出額全体の約3分の1に達した。その後も、株価が消費増税先送りと衆院解散・総選挙への思惑で上げ幅を拡大するなか、国内株式ファンド資金流出が継続。結局、11月の全18営業日中で純資金流入となったのはわずか2日間のみだった。」

http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20141203-00382101-mosf-bus_all

 更にロイターには下記の記事があります。

 

「[ワシントン 5日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は5日、
   ・・・
 同総裁はロイターのインタビューに対し、FRBの他の高官と比べて、自身は米経済に対し楽観的な見方を持っているとし、より早い時期に利上げを開始することを望んでいると述べた。

 時期尚早な利上げで景気回復が損なわれる恐れがあるとは認識しているとしながらも、あまりにも長く待ち過ぎれば、その後により急激な一連の引き締めを実施する必要に迫られる可能性があり、そうなればFRBがこれまで発してきたメッセージに矛盾するとの立場を示した。」

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0TP50420141205

 政府、金融当局が毎回間違えて経済を危機に落としているのは、太字で書いたような事をするときです。金融政策が効かないので焦ってやりすぎてしまうのです。90年のバブル崩壊、2000年の米国ITバブル崩壊などはその典型例です。現在、日本の政府・金融当局にその兆候は見られません。FRBのイエレン議長は用心深い人のようですが、金利を上げることは既成の事実ですから、少し注意が必要です。