エアバッグのタカタが集団代表訴訟を受ける

 アメリカは弁護士試験が簡単なため弁護士があふれていて食べていけない状態らしいのです。それで、何らかの共通のトラブルを持っている人々に対して、「この指とまれ」的なアナウンスを(恐らくはネットを通して?)行って集団を形成し、その弁護士が代表になって訴訟を起こすのですね。「集団代表訴訟:class action」と呼ばれます。

 タカタがこれをやられたという事で、負ければ2300億円の賠償になるとのこと

 旧聞に属しますが、マクドナルドがこれをやられた訴因が面白いものでした。体重200Kg以上の不健康な連中を集めて「マクドナルドがあんなジャンクフーズを我々に食べさせたから、こんなブヨブヨの体になったのだ、賠償せよ」という裁判を起こしたのでした。結果はしりませんが、いくらなんでも、これで勝てるようでは米国司法は終わってますね。多分、原告敗訴だと思いますがわかりません。大企業は示談にしてしまうからです。

 ではタカタの場合はどうなるでしょうか?大胆な予想をすれば、勝てる理由がありません。現に3人でしたか死者が出ているということですから。タカタのリコールに対する対応も悪いですね。我々は(エンド)ユーザの名前も住所も知らないということを理由にしています。これは日本のような理性的な国では成り立ちますが、米国のような感情の国ではまずい対応です。彼らは常に「誠意」を口にします。つまり、司法的理性ではなく、政治的感情が先に立つのです。司法の場でも、これは有効ですので、地裁では100%負けます。恐らく、今の場合、連邦裁判所に行っても負けてしまうのではないでしょうか。その場合、2300億円どころの賠償ではすまない恐れがあると米国のタカタの弁護士はタカタに警告(といいますか、脅迫)しますので、タカタは示談にするのではないでしょうか。

 

 米国の弁護士に関しては笑話がいくらでもあります。

・大きな病院の救急入口で張っていて、交通事故で運ばれてきた怪我人のストレッチャーに駆け寄り、「私に裁判を任せてくれ。弁護料金は負けたら要らない。勝ったら、賠償額のxx%をくれればよい」

 このように訴訟を起こすのに弁護料金が、負けたら一銭もかからないのです。「じゃ、君に任せた。良きにはからえ」でダメ元で起こすのでしょう。

・インドで化学工場が大爆発を起こした時、米国からインドに向かう飛行機が米国弁護士で満杯になった。彼らは大挙して工場周辺の家を回り、訴訟は私に任せよと、言い募って顰蹙を買った。

テキサス州ボーモン市(Beaumont:美しい山の意?)はソドムのような「悪の町」の様相を示し、上記のような弁護士達が沢山集まって、「訴訟産業」を形成し、市の産業になっている。

 訴訟に関してもこんな実話があります:

・自転車に乾電池式の電灯をつけていながら点灯せずに走っていた男が道路の側溝に落ちてけがをした。で、この電灯メーカを訴えたのです。訴因:説明書のどこにも暗くなったら灯りを付けろとは書いていないので、点けずに走ってけがをした。地裁で原告の勝訴です。

 この頃です、はしごに「このはしごには上ってはいけない」とか、包丁に「この包丁で物を切ってはいけない」とかの免責文言が書かれるようになったのは。

・泥棒がある家に侵入しようと屋根に上って明り取りのガラスの上に乗った所、ガラスが割れて下に落ちけがをして逮捕された。で、この泥棒は家の主を訴えた。割れるようなガラスを使ったから自分が落ちてけがをしたのだ、賠償せよと。これも地裁で原告の勝訴です。

 あまりにおかしいので、米国在住の知人に、あの訴訟はどうなったのかと聞いた所。あれは地裁だからね。高裁に行けば負けるんだよ。地裁はああいう判決をだすんだよ。マスコミも地裁の判決は面白いので記事にしても、高裁の判決は常識的なので記事にならないからね、出ないだけだよ、ということでした。