株式市場の「とりあえずの売り」は一段落

 一昨日、「とりあえずの売り」で16700円まで下げた日経平均が今日は17500円です。800円も上がっています。ダウも似たようなものです。先行するダウも同様に17000ドルから17800ドルに戻りました。上がり幅も同じ800なのは奇遇でしょうか。

 原油が半年前から半値の50ドル/バーレルになり、原油・ガスしか輸出するものがないロシア・ルーブルもつれてドルに対して半値になってしまいました。これがどんなに大変なことかは、自分の家の家計を考えれば十分でしょう。石油だけに頼っているベネズエラなどの低開発国も同様です。それらの国に投資しているヘッジファンドはまたも泡を食らって灰神楽の舞い立つようなドタバタ劇を繰り返しただけのことですね。

 幽霊の正体みたり枯れ尾花的な状況ですが、投資市場というものはそのようなものです。本物の幽霊か、枯れ尾花かを見定められる目が育成できていれば、慌てずに済みます。何しろ、個人が証券会社を通して、売って買い戻すということは、往復の手数料、利益があればとてつもなく高い税金、ETFなど投資信託なら信託報酬を取られるので、買い戻したら株数が売る前より減ってしまったということも普通に生じます。

 今回は、米国景気が強靭、日本政府はアベノミクスの安倍自民党が強力・長期政権をとって、何がなんでも景気を上向けるという実に明確な態度をとっていますので、ダウも日経平均も非常に心強い状態にいます。

 本来、原油安は経済にプラスの要素なのです。株価は上がるはずなのですが、一方で原油安のために、ロシア経済が陥没し、再度のデフォールトでも起こせば、欧州=EUも影響をうけます。したがって、日本も影響を受けるでしょう。これが今回の幽霊の正体です。

 原油価格の低下と言いますが、元々100ドルを超えていたのが異常で、正常に戻ったに過ぎません。まあ、「正常」とは何かの定義がいりますが、とりあえず10年くらいのチャートで暴騰し始める前程度のいい加減な指標で。

ぱらっとチャート

 1973年のOPECによる政策的暴騰の時は、3ドルから4倍の12ドルに一瞬で上がったのということです。1973年の学卒の初任給は5万円程度で、2013年は20万程度ですから、通常の生活費は4倍にあがっただけです。40年前にマクドナルドがあったかどうか知りませんが、ハンバーガはいくらだったのでしょう。25円だったのでしょうか?それを考えれば、原油の3ドル → 現在の100ドルの30倍はいかがなものかという考え方もあります。OPECの陰謀でしょう。

経済ニュースの"ここがツボ" (5) なぜ原油価格が下落している? - OPECと米国が"我慢比べ"、日本への影響は? | マイナビニュース

かつてはOPECは原油価格の決定権を握り世界経済の命運を左右するほどの存在でした。1973年にイスラエルアラブ諸国による第4次中東戦争が勃発すると、OPECは1バレル=3ドル程度だった原油価格を一気に12ドルに引き上げるとともに、イスラエルを支援する欧米諸国への供給削減を通告、第1次石油危機を引き起こしました。1979~1980年には原油価格をさらに3倍に引き上げ、第2次石油危機が起きました。

 原油が暴落している原因を要約すると:

 ・中国などの景気減速で需要先細り

 ・米国のシェールオイル開発で供給過剰

 ・OPEC諸国はシェールに対抗し、シェアを確保するためにも減産できない

ということでしょう。

 加えて:

 ・米国・サウジアラビアの密約で、ロシア制裁のために減産せず暴落を画策

  ちょっと、これは分かりません。何しろ、密約ですから。

 今、一番の心配事はロシア経済の崩壊でしょう。崩壊そのものが心配ではなく、「崩壊することを心配して怯え売りをする投資家がいて、それを見て狼狽売りをする投資家がいる」ために、ダウが暴落し、その影響で日経平均が暴落する可能性があるということでしょう。