ピケティ-「21世紀の資本」の誤り その1

 先ほど、NHKのニュースの深読みのような、大変に浅読み番組を見ていたところ、ピケティ本の解説をしていました。金持ちはますます金持ちになり、そうでない人は金持ちに追いつくことができない、というトーンの番組でした。ツイッタで「努力しても意味がないということか」などと言っている人々がいましたが、そのような発想をする人は元々努力などはしないーー努力する能力を持たないーー人なので、しない口実にしているだけのことです。

 さて、まずピケティ氏がこのようなスキャンダラスな物を書いていくら儲けたかを見てみましょう。日本では5940円になっています。全世界で100万部を超えて売れているということです。印税は概ね10%ですから、6億円の稼ぎになっていることをまずは頭に置いてください。実際には、翻訳では訳者に7%、原著者に3%程度になるので、丸々6億円がピケティ氏の懐に入る訳ではありませんが、数億は入るということです。学者がまともな論文を書いてもこうは売れません。専門書は数千部単位でしか売れないものです。この手の通俗本は儲ける事を狙って書かれているということを念頭に置かねばなりません。

 経済学は学問ではないとは、自然科学者の通念でしょう。何の役にも立っていない。マルクスケインズも結局は役に立っていないのです。経済学の論文は、厳密な科学的な論が書かれているわけではなく、駄文が書かれているだけですね。まあ、そうはいえ、無いよりはましでしょうが。

 さて、深読みの解説では、「親の年収が1000万円の子供は・・・」という論調が基本になっていました。「・・・」には色々な物が入ります。「東大にいける」、「結婚できる」など。つまり、子供の運命は親の年収に掛っていると言いたいらしいのです。では、親はなぜ1000万円の年収があるのでしょう。更にその親(祖父)が1000万円の年収があったのでしょう。じゃ、祖父はなぜ1000万円の年収があるのでしょう・・・もう分かりましたね。つまり、先祖代々1000万円の年収があったのでしょう。つまりは、優秀な家系、DNAであったという事です。

 ピケティ氏の誤りは、彼の論に「なぜ?」の分析がないことです。表面的な数字をみているだけです。経済学者は多分、それで良い。それが経済学だというのではないかと思いますが、しかし、経済学は不都合を是正する処方箋も書かなくてはなりません。そのために、「なぜ?」を問う事は必須なのです。

 先祖代々1000万円の年収があるということは、先祖代々優秀だということなのです。この観点がピケティには抜けている。あるいは少なくともNHKには抜けていて、「努力している貧困者が浮かばれない社会」と社会の責任にする偽善的な解説をしているのです。ほとんどの貧困者は努力などしていないのです

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才能がなければ努力しても無駄か? - dr-yokohamanerのブログ

 

「もし、学力があったとしても大学にいけない」という言い方は大きな間違った仮定「学力があった」を素通りして結論だけが強調されています。大多数は学力などはないのですよ。学力があれば、今の社会では大学にいけるのです。学力があれば多くの大学は返す必要のない給付型奨学金を出していますし、そもそも授業料免除しています。足りなければ、あまりに努力しない結果、成績が悪いので就職できず返還できないであろう偏差値35の学生にもどんどん貸し出している学生支援機構が揉み手で貸してくれるのです。

 そもそも、格差を強調しているNHKの解説委員は、我々の視聴料からどれほどの高給をとっているか?子供の頃から、今の境遇になるために自分が何をしてきたか?それを述べてもらいたいものです。偽善的な綺麗事ではなく正直に言えば、相応の努力をしてきたはずです。

  統計の修辞的表現=嘘:「修学旅行にお金がたりない。学用品がかえない、給食費が足りない」6人に1人も居るのですとNHKの高給取りの解説委員は言っていました。6人に1人と聞くと多いと感じますが、自分の周りにそんなに貧困者がいるでしょうか?

 例えば現在100万人の同年齢人口がいます:84万人の普通以上の人と、16万人の貧困の人になります。84万人も普通以上の人がいるのです。社会の健全性から考えれば、何の問題もありません。

2:6:2の法則と日本の家庭 - dr-yokohamanerのブログ

■ 2-6-2の法則

1.上位2割 優秀なグループ
2.中位6割 平均的なグループ
3.下位2割 だめなグループ

 人々が集団を構成した場合、自然発生的にこのような内訳になるという法則。下位2割を除いても、残りの8割の中で更にこのように分かれるのです

 機会の均等と結果の均等:親が1000万円の年収でなければ良い大学にいけないから機会の均等が成り立っていないという論調でした。既に、この問題は上で述べました。先祖代々優秀な遺伝子を持っている人々が、さらに努力した結果なのです。先祖のDNAが劣悪であったことが、機会の平等を阻んでいることになるのでしょうか。カエルの子はカエルとは昔の人の言葉です。瓜の蔓に茄子はならぬ、とも。その意味では貧困は遺伝していると言えます。それは、親が貧乏だから子も貧乏になるという遺伝ですが、原因は親の貧乏の為に子が良い教育を受けられないからではなく、親の遺伝子が悪いからです。

 しかし、一方で突然変異という現象もあります。トンビが鷹を産むこともあるのです。後は、本人の努力次第

 サラリーマンは永久に資産家に勝てないか?

 これも嘘でしょう。給料を貯めて、それを資本にして投資すれば良いのです。

私、失敗しないので的株式投資がしたい人のために - dr-yokohamanerのブログ

 貯金できないほどに低い所得の人は、努力する以外にしかたありません。努力する能力を持っていれば機会は均等に与えられているのが日本の社会です。問題は努力する能力のない人が下位2割になっていることでしょう。これが貧困が遺伝するという状況になる原因でしょう。

 

*:努力とは、高校までの12年の勉強です。2018年、リーマンショックで派遣切りがあった時、自分たちは正規社員と同じか、それ以上に努力していると訴えている派遣社員が居ましたが、肉体労働の努力は努力と見做されません。いくらでも、換えの人員がいるからです。この人しかできないというスキルを付けることが努力です。それは頭脳労働であり、高校卒時点でほぼ決まります。それで、東大に入れば良いではないですか。なぜ、その努力をしなかったのでしょう。代数、幾何学微分積分微分方程式三角関数対数、確率・組み合わせ、英単語1万語記憶、英文法を完全に記憶、英文解釈参考書を3冊読破・記憶、ニュートン力学、電気工学、化学を完璧に習得、これが努力です。