クラウド ビッグデータなどなど

 既に旧聞に属しますが、TVのビジネス番組をみていますと、良く、クラウドとかビッグデータとかを聞きます。なんだかすごい物かなと思ってしまいますが、大した話ではありません。そもそも専門用語というも愚かしい名称なのです。

 米国人というのは、とにかく、自分を押し出さないといけないので、実に、このようなあざとい名称を付けるのがうまいのですね:マルチメディア、データマイニングユビキタス・・・どれもこれもあざとい名称です。

 クラウドとは雲のことですが、インターネット研究者や教師がインターネットを図示する時に、細かな網を書くのは面倒なので、楕円にごちょごちょと凹凸をつけた雲のような図を描いてインターネットの図にしていたのです。それが雲の形に見えるので、IBMレンタルサーバ事業にその名称を使ったのだと思われます。ユーザはサーバが物理的に何処にあるのか知らなくても良い。ネットのどこかにあり、そのIPアドレスでアクセスすればデータが書き込めて、読み出せる。というだけの事にすぎません。

 パソコンのハードディスクという物は実に脆弱なもので消耗品なのです。何しろ、金属円盤の0.05ミクロン上を1万回転/分という高速で読み書きするヘッドが飛んでいるのです。なにしろ、contact flyingという矛盾した名前さえ付いている方式です。実際にcontactなどしたら、一瞬で破壊です。ですから、いつ、ヘッドが円盤に触れてデータが書き込んである磁気膜をはがしてデータ消失を起こさないとも限りません。

 それで、データセンターというビジネスを始めた企業があるのです。ハードディスクの群れに何重にもデータをコピーしてデータ消失する確率を極限まで小さくしたサービスを行っています。他の企業はそのサービスを受ければデータを失う危険が事実上ありません。というわけで、サーバはインターネット上のどこかのデータセンタにあるのです。こんなサービスを総括してクラウドと呼んでいるだけのことで、珍しくも面白くもない話なのです。

 ビッグデータは、文字通り大データ。アザトイ名前ですね。ほとんど何の意味もなく人の注意を引きたいというだけの名称です。データが人間の管理を超えるくらい大きくなれば、その中にはとんでもない、今まで知られていなかった事実が埋没している可能性はあります。以前、演繹推論という事を書きましたが、まさに、その手法で知られていなかった有用な事実を引き出せないかということで、ビッグデータと名付けられたのでしょう。最近マスコミをにぎわしているピケティ氏の本はまさにビッグデータから手動で?データを抜き出して「r>g」という発見をしたのだそうです。


ピケティは過去200年間の世界中の税務統計を集めて、その結果「r>g」という大発見を世の中に提示した。過去200年間、世界全体で資本収益率(r)は常に経済成長率(g)を上回っていたと結論付けた。

-- http://biz-journal.jp/2015/02/post_9005.html

 こんなことを自動的にコンピュータでできないかという事なんでしょう。データマイニング(データ掘り起し)の対象がビッグデータになったということでしょうか。