サントリーがアサヒビールを特許侵害で提訴

 だそうです。

 ニュースでは細部がわかりませんが、アルコールと糖質などの成分範囲が特許になっているとのこと。アサヒは、特許無効訴訟を起こして争うとのこと。

 さて、サントリーのこの特許は、結果だけを特許にしたことになります。実際には報道されていないもっと細部がクレーム(特許請求範囲)になっているかもしれませんが、とりあえず報道に従って成分の範囲という結果、アルコール分5.6%、糖質0%など、を特許にしたとしましょう。

 アメリカが月に人を届けるアポロ計画を発表した。すかさず、「月に有人飛行できることを特徴とする宇宙ロケット」を特許にしたら、NASAから莫大な特許ライセンス料を貰い受けることができたはずです。「どのようにして」という手段を省いて結果だけをクレームには通常はできません。ついでに、「太陽系惑星とその衛星に到達できることを特徴とする飛行体」などという特許も、誰でも考えられてしまいます。それはないでしょう。

「アルコール分5%以上6%以下、糖分0%以上2%以下であることを特徴とする飲料」はクレームできません。しても、特許庁の審査官が弾いてしまいます。拒絶査定が帰ってきます。この飲料を作るための特徴的な、前例がない製法なら特許にできる可能性があります。サントリーはそれをクレームに書いているのでしょうか?そこが問題ですね。

 この「数値」特許はかつてキヤノンが使ったことで良く知られています。本命のクレームは別のところにあり、そこから注意をそらすめくらましに数値を書くという戦略です。既に旧聞に属しますが・・・マスコミもひょっとしたら数値にめくらましをかけられて本命のクレームを見逃しているのかも知れません。

 特許庁の審判は地裁の判決相当ですから、アサヒビール知的財産高等裁判所サントリーの特許無効の提訴をすることになります。さて、どうなることでしょう。