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日本経済は80年代のバブル状態?!

 不思議な記事をみました。掲題だと言うのです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150326-00000002-maiall-brf

eadlines.yahoo.co.jp

Yahooからは消えてしまっていますので、オリジナルの毎日新聞から再掲します。

アベノミクス
バブル崩壊25年 「結局、日本人はバブルから何も学んでいない」

2015年3月26日

野口悠紀雄さんインタビュー

バブルの時には「こんなことがあるはずはない」と、非常に強い違和感を抱いた。特に不動産と株の価格の値上がりは、異常な状況でした。

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日本のNTTの時価総額がアメリカのAT&TとIBMを合わせたよりも大きくなったとか。それを誰も不思議に思わない。その異常さですね。87年に私が東洋経済に書いたのは地価と賃貸料、フローとストックの価格の比較でしたが、その前提として「直感的に見て、これはおかしい」と。
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他方で大口預金の金利が自由化されてかなり高くなったので、お金を右から左に回すだけで稼げてしまう。それを当時「財テク」と称していたわけですが、そんなものはテクノロジーでも何でもない。虚業で多額のお金を稼げる一方で、真面目に働いても自分の住む家も買えない。」

 官僚→大学教授の経歴では実業をやっておらず、所詮が評論家にすぎないのでこんな程度の論評しかできないのでしょう。

 で、教訓を忘れたから、どうすべきか?株など買わずに売るのか?ベアは返上するべきなのか?パナソニックは1兆円の設備投資をやめるべきなのか?海外に出て行った多数の工場は戻ってくるべきでないのか?昨今の円の適正レベルへの回帰で起きたことを円安バブルと誤った解釈で否定するばかりで、なんの結論も、行動指針も示されておりません。

 現状の日本経済はやっとリーマンショックの前に戻っただけの状態です。長い暗黒の水面下を経験した後、やっとのことで水面に顔をだした。

dr-yokohamaner.hatenablog.com

あなたの孫はインドか中国で生まれます - Chikirinの日記

  このまま日本を溺死させないために、日銀は異次元の金融緩和をしましたが、それがバブルだとでも言うのでしょうか?

 95年でしたか、一瞬ですがドル円が70円台になったことがありました。丁度、サンフランシスコにいた時ですが、プチ金持ちになった気分になりました。どの店に行っても、品物が円換算で安いのです。逆に言えば、輸出は大変なことになっていたのです。「ミスター円」の榊原氏が円を売りまくりすぐに100円台に戻し、事なきをえました。それに引き換え、2008年から安倍首相・黒田総裁前までの政権は超円高を放置し、「あなたの孫はインドか中国で生まれます」的状況になっていました。この間、どれだけの大企業が工場を閉鎖し、リストラをし、正規社員が6割を切るような状態になっていたかをを忘れてしまっているのでしょう。

 下記の本は、東大法学部卒のエリートが書いているものですので、前半は、そのレベルの能力のある人々の再就職の物語で、所謂「頭が悪くて・・・ノースキル」な大学生とは一律に語れませんが、後半の昭和の価値観22あたりから、なぜ、非正規が多くなったかが熱っぽく語られています。非常に興味深い観点です。
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代
(ちくま新書) 新書 2008/3 城 繁幸 (著)

 一言に要約すると、労働組合は組合員の既得権益を守るために(既に正規労働者として働いている人々をリストラさせないために)新規採用を控えさせ、ために非正規労働者が増えた。格差は貧富の間で起こっているのではなく、世代の間でおこっているのだということです。労働組合が組合員ではない新卒者の利益を代表しないのは仕方ないことでしょうが・・・。

  言うまでもなく「3年で辞めた」は修辞であって、ほとんどは、ノースキルのために「3年で辞めさせられた」でしょう。

 このような悲惨な労働市場の状態の中で、掲題の意味不明の記事は典型的な野党根性で書かれたものでしかなく、対案は何も示されていないのですね。

 このブログのあちこちで触れていますが、株式市場の大暴落は政府・中央銀行の施策によるもので、バブルの自然崩壊は市場の自律的動きの中では起こりません。すぐにーー遅くとも数週間でーー回復していきます。法制・行政の変更が無ければシステムが壊れることはなく、単なるパラメータの調整にすぎないからです。更に、株式市場が暴落したから景気が悪くなるのではないのです。景気が悪くなるから株式市場が暴落するのです。原因と結果が逆でしょう。株式市場は「メータ」にすぎません。実体経済の状態を示しているだけです。エンジン(実体経済)が暴走しているからといって、メータの針を手で止めてもエンジンは止まりませんよ。

 たとえば90年のバブル崩壊の実体は不動産バブル崩壊であって不動産市場を壊す法制、行政の結果、不動産ブローカ、金融機関が軒並み潰れシステムが破壊されたものなのです。「株を売り急ぐ人を止められない」とは、まるで経済の実体を理解していない表現です。実体経済が壊れていなければすぐに回復するのです。

dr-yokohamaner.hatenablog.com

 大学教授というものは不思議な発想をする浮世離れした人種です。警告だけしておいて、似たような事象が起きた場合、「私が言った通りになった」と自慢したいのでしょう。それは、素人の天気予報と同じことで「そのうち雨になります」と言っているようなものです。

 ついでながら、「経済学」は「学」ではないと言われます。「経済論」にすぎないのです。「学」のような確実性={客観性、普遍性、再現性}をもっては何も語れていないからです。「論」とは勝手な「主張」であって、客観性、普遍性、再現性が保証されていないのです。