林修君の言う「暗い所で本を読んでも目は悪くならない」は本当か?

 結論から言えば、嘘でしょう。TVに出てくるタレント医師のいう事を真に受けてはいけません。彼らは医学の研究者ではないので、実験をしたわけでもなく、確固としたデータを持っている訳でもなく、単純な考えでものを言っている可能性が高いのです。酷い時には、既にディレクターの頭の中に視聴者に受けそうなストーリがあり、それに沿って都合の良い理屈付けをしているだけかも知れません。

 そのような番組作成を「やらせ」と呼びます。今まさに、NHKの「クローズアップ現代」がやり玉に挙げられています。健康番組では「発掘!あるある大事典」がやらせで廃止になりました。

 さて、そもそも「目が悪くなる」とはどのような事でしょうか?こういういい加減な表現がそもそも問題なのです。次の事が考えられます。

1.視力が落ちる:例 1.5→0.1 

2.目の他の機能不全が起きる

 番組では1.としていました。「暗い所で本を読んでも視力は落ちない」を結論にしていましたが、本当でしょうか?何の根拠も与えられていませんでした。多分、タレント医師が、「暗い所で本を読むことと、目の筋肉が弱ることとは関係がない」と推測したのではないかと思います。ちょっと考えると、正しそうですが、しかし、医学を含む科学はこのような人間の単純な思考を裏切り続けてきたのです。人間の行う推論などは自然の構造を暴くには余りに非力で単純なものなのです。実験が必要なのです。

 時速100Kmで直線運動をしている電車の上から進行方法に時速30Kmでボールを投げたら、そのボールは時速130Kmになると、人間は考えたのですが、誤っていました。相対論がこうして建設されたのです。重い物体は軽い物体より速く落ちると人間は考えていたのですが、ガリレオの実験により否定されました。

 というわけで、本当に視力は落ちないのかについてはデータが示されていません。そして、他の機能不全に対しては何も言っていません。タレント医師の浅はかな思考にすぎないかもしれない怪しげな結論なのです