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3人称単数のthey :everyoneを受ける代名詞は何?という問題

英王室に赤ちゃんが誕生しました。英マスコミの報道では:

 It's a girl.

です。「it」なのですね。「She is a girl」では「girl」という以前に「she」で「女性」になってしまっていますので、日常論理的におかしい(間違いではありませんが、tautology:同語反復。蛇足:記号論理では恒真式と訳されます。1=1は最強の真ですね)と英語話者は感じるのでしょう。ドアの向こうでノックがあった時も「Who is it?」です。英語の人間を指す三人称単数は「she」か「he」で、性に対して中立な代名詞としては、モノを指す「it」(文法書には赤ちゃんは「it」と書いてあるとは思います)しかないので、こうなってしまうのです。

日本語は曖昧? - dr-yokohamanerのブログ

の項でも書きましたが、文法的規制が弱い日本語はこういう時、便利なのです。

「女児誕生」「女の赤ちゃんです」などなんとでも表現できます。

 そこで、三人称複数のtheyを援用して「三人称単数のthey」が社会的に認められつつあるという記事を見たことがあります。これを知らないと質問に的確な回答ができないことになります:

They も三人称単数なのですか!?- Yahoo!知恵袋

 この回答は学校文法としては正しくても、多分、三人称単数のtheyを聞いて不思議に思った人への回答にはなっていません。

 とりあえず、この記事が面白いです:

 3人称・単数・通性の代名詞

「you」は複数でもあり、単数でもあります。いい加減なものです。「they」はなぜ、複数に限定されているのでしょうか?という問題です。三人称単数(無性)のeveryoneを受ける代名詞で適切なものが英語speaking peopleも欲しいのでしょうね。


2週間ほど前にピッツバーグで開かれた全米コピーエディター協会(ACES)の年次会合に出席したとき、完全に文法を無視しているとして長い間非難されてきた使い方が、ますます受け入れられるようになっていることに気付いた。それは「they」を単数代名詞として扱うことだ。
 標準的な文法では、「they」およびその類似形はtheyに先行する複数形の三人称の名詞または代名詞を指し示す。しかし、英語には性別による区別のない単数形の三人称代名詞が極めて限られていることから、文法学者にとっては非常に心外ながら、「they」が過去数世紀にわたってその目的のために無理やり使われてきた。そして今、単数形としての「they」の使用を極力避けてきた人々がその態度を変え始めているかもしれない。
 先行する単数の名詞が一般的(総称)とみなされるとき、つまり、一人の特定の人物を指していないときには「they」が単数形として使用されることが最も多い。例えば、「Nearly everyone would find that they can stomach the “they” in this very sentence」というまさにこの文では、ほぼ全ての人(everyone=三人称単数代名詞)が、それを受ける代名詞として「they」(複数形)を使うことに違和感がないという点で意見がほぼ一致している。
」 増える単数形の「They」 - WSJ


According to standard grammar, “they” and its related forms can only agree with plural antecedents. But English sorely lacks a gender-neutral singular third-person pronoun, and “they” has for centuries been pressed into service for that purpose, much to the grammarians’chagrin. Now, it seems, those who have held the line against singular “they” may be easing their stance.

“They” most often turns singular in common usage when its antecedent is considered generic, not referring to a single known person. Nearly everyone would find that they can stomach the “they” in this very sentence, agreeing with “nearly everyone.”
Can ‘They’ Be Accepted as a Singular Pronoun? - WSJ

 蛇足ですが、「everyone」は意味的には複数ですね。「誰でも」「みんな」なのですから。しかし、文法的には単数なので、こういう矛盾が生じてしまうのです。「no one」は単数ですが、それから派生した「none」は複数ですし・・・英語は厄介です。そういえば、文法性:genderもおかしなもので、ドイツ語の「娘」Moechenは中性です。(oウムラウトはoeと書きます)。文法と意味が不適合な場合、気持ち悪いのですね。