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ウィルスとは何か?

 韓国で致死率40%というMERSウイルスが猛威をふるっています。ウイルスは生物ではないので、細菌のように殺すことができないのが問題です。細菌は細胞から成り立っている生物で、細胞の中には遺伝子と呼ばれるコンピュータプログラムのようなものが入っています。同時に、このプログラムを実行するコンピュータも入っていて、このプログラムを実行して新陳代謝を行っています。このことを「生きている」と言えば、ウィルスは生きていません。

 遺伝子はDNA:デオキシリボ核酸と呼ばれる物質でできていて、これは生命ではなく、単なる物質です。ここに遺伝子のプログラム(生物の設計図という場合もあります)が書かれています。プログラムは抽象概念なので何にでも記録できます。今は、DVDやフラッシュメモリーに記録されていますが、昔は紙テープに孔をあけて記録していました。DNAも似たような構造ですね。

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 遺伝子もこれがミクロになっているだけで、こんな風に細胞の中に記録され、細胞内のコンピュータのような器官によって実行されているのです。

 ところで、ウイルスというものは、DNAという物質なのです。タンパク質の入れ物に入っています。この紙テープがプラスチックの入れ物に入っているようなものです。あいにく、これが生物の遺伝子と同じ物質なので、困るのです。体の細胞に付けばそこから細胞内に入ってしまいます。すると、細胞内のコンピュータは自分の中にある遺伝子と同じ物質なので、間違えて実行してしまうのですね。その結果、悪い物質が細胞内にできて細胞が死ぬようなことがあり、こうしてどんどん細胞が死ねば、生物自体も死ぬことになります。

 細菌でしたら、生物なので抗生剤などで殺してしまえば治りますが、ウイルスは殺すという事ができません。そもそも生きていない単なる物質ですから。では、そのDNAをバラバラにぶった切って悪さをしないようにできないでしょうか。これができないのですね。何しろ、我々の遺伝子と同じ物質なので、ウイルスをバラバラに分解するような薬剤は我々の遺伝子まで分解してしまいます。タミフルのようなウイルスに効く薬剤はどうも、ウイルスが入り込んだ細胞を封鎖して出てこれないようにするもののようです。確かにこれなら、細胞がどんどん壊されることはないようです。

 MERSで肺炎になった場合、抗生剤が効くような記事がありますが、あれは抵抗力が弱った体に細菌がついて肺炎などを起こした場合、その肺炎菌を殺せるということであって、ウイルスに効くのではありません。

 というわけで、タミフルのような機序でウイルスを封鎖することがMERSにできるかどうか?ウイルスのようなものに必ず効くものは人間自身がもつ免疫しかありません。免疫は外部からの侵入物を無毒化する機能です。免疫が弱いとウイルスに対抗できず、死ぬわけです。この免疫を早く起動するための物質がワクチンです。ワクチンがあれば、免疫が早く起動して助かる可能性が高まりますが、MERSのワクチンなどどこも作っていないでしょう。天然痘くらいにポピュラーになればワクチンが常備されているのですが。因みに、エイズにワクチンが効かないのは、エイズはすぐに変異して体の構造を変えるので、言ってみれば、変装してしまうので、ワクチンが効かないのです。ウイルスは厄介なものです。