東京オリンピックロゴとリエージュ劇場のロゴ:日本人の知的財産に対する意識の貧困

 前にも書きましたが、この2つのロゴは基本的に同じです。似ているのではなく、同じなのです。誰でも見れば客観的に分かります。

 記者会見で明らかになった更なる問題;

・右下の「L」の羽の説明がない

・「自分には考え方が違うのでまるで違う物に見える」

リエージュ劇場のロゴなど見たことはない

【東京五輪】ロゴ作者「盗作は明白」と主張 エンブレム問題、使用停止求め法的措置も - 産経ニュース

 「T」の左側半分の横棒が「羽」の形になっていることさえ、偶然とは言い難いのですが、右下の羽に関しては佐野氏は何の説明もしていません。逃げているとしか言えません。あれは東京オリンピックと何の関係があるのでしょう。元のデザインでは、勿論「Liege」の「L」です。「TL」の縦棒を共通化したロゴで説得力があります。

 佐野氏は色々考えたと言って例を見せていましたが、この問題が明らかになる前の証拠なのか、問題になってから、後付で作ったものなのか?後者なら何の証拠能力もありません。

 「考え方が違うので違う物に見える」のは個人の心の問題であって、作者以外には「考え方」など分かりません。そういう主観を言うのであれば、理由など不要で、「僕には違って見える」だけでよいのです。それはあなたの勝手でしょといわれるだけのことでしょう。実際に万人に見えるのは、厳然とした客観的な外観・形式だけです。

 リエージュのロゴなど見たことがない。これも証明できないことです。今のようにインターネットが発達していれば見たことがないとは言いにくいでしょうし、そもそもデザイナーなら見た可能性の方が、この同じデザインをみれば、そして、右下の羽の存在意義不明なことを鑑みれば、高いでしょう。

 驚くのは、テレビ報道です。「知的財産権」などに関係しない、「知性」には何の関係も無いような無知・無恥な人々が、「おらが国ひいき」に走った報道ばかりで冷静な知的財産権的な観点から論じている報道がないのは、情けないとしか言いようがありません。「ちょっとは似ている」などと、意味不明な事を言っています。「ちょっと」ではなく、右上の赤丸を除けば、骨格はまるで同じでしょう。「要素が似ている」とも言っていますが、ただの「要素」ではなく「中心的骨格」が同じでしょう。

 酷いのは同じ穴のムジナであるデザイナー仲間に似ていないと言わせていることです。オリンピックの委員は自分の責任回避がまず頭を過ぎりますから、これも似ていないと言うのは当然です。

 縦棒から羽が離れているが、こちらは離れていないからパクリではないとか、馬鹿らしい言い訳をしている局もあります。パクルのなら、そのくらいの偏移とも言えない偏移は入れるでしょうよ。自分たちが何を話しているかも理解できていないのです。情けない話です。

 どこのTV局も同じように黒を白と言いくるめるような強弁をしているところをみると、多分、政府筋からそのような報道をせよとのお達しが出ているのでしょう。日本のマスコミのすべてがここまで恥知らずの三百代言とは少し考えにくいのです。こんな事をすると、東芝事件のような良心的内部告発が必ず出てきます。中国やロシアじゃあるまいし、報道統制など日本でできるわけがないでしょう。

 さて、訴訟でどうなるかは、別問題です。このようなロゴは、商標登録をしておかなければ、自分の発明とは認められません。特許と同じことです。文章ですと、著作権が自動的に発生しますが、特許や商標にはそのような性質はありません。元デザインのベルギー人作者は、「商標侵害」では訴えることはできないでしょう。手抜かりとしか言いようがありません。法律的には彼はなにもできないでしょう。

 しかし、法律的問題は二次的問題にすぎないと前のブログでも書きました。世界に、剽窃の恥をふりまき、かつ、日本の知的財産への意識の低さ、知性とは無関係な人物達のコメントばかりを報道しているマスコミの低俗さが、あまりに恥ずかしいのです。日本の庶民の知的財産権に対する意識は中国人と同じレベルであると思い知りましたこの知的財産権への日本人の意識の低さが、あの恥ずべき小保方論文剽窃事件を起こした元凶でしょう

 「S0NY(エス・ゼロ・エヌ・ワイ)」、「PANASQNIC」、

「東菱」、「曰立」(曰くの「曰」です。「日」ではありません)などの商標が中国で蔓延していて、中国人に日本の企業のロゴとちょっとだけ要素は似ているかもしれないね、でも、考え方が違うので中国人には全然違ってみえると言われたら、上の無知蒙昧なコメンテータたちは、きっと「おらが国」意識で、オリンピックのロゴとは異なる反応をするのではないかと思います。

 

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