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アベノミクスの実感:貧困と格差の原因

 アベノミクスが実感できないという声をマスコミはよく流しています。駅前などでインタビューしています。しかし、明らかに経済は良くなっているでしょう。大括りな指標である日経平均株価はざっと言えば7000円から20000円まで上がり、ドル円は80円から従来の120円に復し輸出が伸びています。企業業績は上がり、ボーナスは上がり、給与も上がり、失業も減り、有効求人倍率は上がっています

 一方で、高齢者の貧困、女性の貧困、子供の貧困、若者の貧困などあらゆるクラスの貧困がマスコミのテーマに上げられています。おかしな話ですが、事実でもあるのです。恐らくは日本の富は二極化しているのでしょう。80年代までの年功序列、終身雇用という収入と生活の安定、その結果としての1億総中流状態は89年末のバブル崩壊で壊れてしまいました。政府の無策と相俟って不景気の中を生き残らんとする製造業は国内工場を閉鎖し、人件費の安い海外に移してしまいました。結果として、国内では、労働者の非正規化-契約社員、バイト、パート-が通常の雇用形態になってしまいました

 非正規雇用でも時給は高卒新入正規社員の時給と同じ程度でしょうが、ボーナスがない、ベースアップがない、定期昇給がない、昇進がないので昇進に伴う昇給がない、企業負担の年金原資がない(厚生年金、共済年金企業年金)、退職金がない、有給休暇が圧倒的に少ない、通勤費がない、住宅手当がない、配偶者手当がない、後、なにがないでしょうか?医療保険は?バイトやパートにはないでしょう。失業保険はない。こんなにナイナイづくしで安く雇える非正規は企業にとって世界での競争力の源泉なのです。

 こんなわけで正規社員はアベノミクスで会社の業績があがった分の恩恵を得ているでしょうが、非正規社員は全く恩恵を得ていないと推測できます。そして、恐らく、労働者の50%以上が非正規に落ちていると思われます。ならば、正規社員である残りの50%はアベノミクスの恩恵を得ているではないかと思いますが、企業の大部分は中小企業であり、まだ日本全体が底上げしているわけではないので、トリクルダウンの恩恵を受けておらず、ヤマ勘で言えば、正規社員の2,3割程度しか恩恵を得ていないのではないでしょうか。大企業と言っても、東芝のようにリストラされてしまう人々もいますので、あてにはなりません。駅前でアベノミクスは?と聞いてもほとんどは実感がないと答えるのは当然のことです。

 労働者の50%(~60%)が非正規でアベノミクスの恩恵に与からない = 0.5
 残りの正規労働者の7割がアベノミクスの恩恵に与からない = 0.35

 とするならば、結局、85%がアベノミクスの恩恵に与からないわけです。

 最大の問題は非正規社員でしょう。企業が正規採用すれば問題は解決するのですが、そうすると、世界に対して競争力がなくなり、最後は倒産に行きつくことになります。で、正規社員までリストラされて日本全体が貧困化することになります。

 中学くらいで、産業は第1次産業 → 第2次産業 → 第3次産業と進むと習った記憶がありますが、第2次産業では肉体労働は国外に出るか機械化し人がほんの少ししか要らない状態になっています。いうまでもなく必要とされるのは頭脳労働ができる人だけです。第3次産業=サービス産業(典型的に外食産業)は国外に出て行くことができず(勿論、国外にも出て行くことはあります)、機械化することもできず、いわゆる勉強のできなかった大人たちのほとんど唯一の職場になっていますが、そこでは正規社員がいらず非正規で賄っているので、貧困の源泉になっているのでしょう。

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 恐らくは非正規化は資本主義の必然的な結果なのでしょう。かといって、社会主義ソ連の結果を見れば、これはもっとダメで、早々と崩壊しました。15%(この数字は信じないでください)の正規社員から多額の税金を取り、85%の貧困者に回す?これは社会主義の変形に過ぎません。必ず破綻します。社会が崩壊するでしょう。

 考えてみればすぐ分かることですが、10人くらいの大家族なら社会主義の極端な一例である共産主義でさえうまく行く可能性はあります。御爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん、叔父ちゃん、叔母ちゃん、孫4人で10人です。これで共同作業が必須の農業でもしていれば何とか共産的主義が成り立つでしょう。しかし、隣村の見も知らない40歳の男が毎日仕事もせずに飲んだくれた挙句、貧困化し、毎日食うにも困っていると聞いて、この一家は彼に毎月10万円の施しをするでしょうか?マルクスの偉大なところは、この10人大家族モデルを数億の見も知らぬ人間の集団に適用することを考えたことです。浅学菲才狭量なDr.Yには到底考えられないことです。アリはキリギリスを助けないのです。

 少子化が困るのでもっと子供を産みましょうと政府は言いながら、統計的必然性をもって頭脳労働には就けない、生まれてくる50%以上の肉体労働市場を用意しようとしている形跡はないのです。勿論、正規社員としての労働市場です。必然的に彼らは無職か非正規になり、貧困化し、購買力もないので産業は伸びず衰退するしかないのではないかと思います。ひょっとして法人税の削減は企業の国際競争力をつけ、工場を東南アジアから国内に戻し、肉体労働市場を作るための秘策??