消費税10%増税はあるか?

 フランスの小咄です:

 外交官のyesはmaybeであり、maybeはnoである。しかし、noと言ったらもはや外交官ではない。

 

 これは政治家の場合も同じことです。政治家の「断言」は「多分」です。「多分」はnoです。つまり、10%増税はしないということで、わざわざノーベル経済学賞受賞者をアメリカから呼んでまで、noと言わせているんですから、当然、やる気はありません。それを最初から言っては財務省などが裏で何をやるかわからないので、分かっていても、「やると断言」したふりをしていただけのことです。財務省も分かっていても、早い時期から「そんな気はないだろう」とは言えませんね。おまけに、財務省と言えば、8%増税の時にあることないこと、何の保証もない「景気は大丈夫」という嘘を官邸に言いまくって上げさせたのですが、その後、景気は低迷してしまいまして、官邸の不興を買ってしまいました。そこで、次官以下、死んだふり状態ですので、表立っては何もしていませんね。

 そもそも、中国の不況が世界の不況になっているので、今のままでは日本の不況もすぐには立ち直せないでしょう。選挙も近く、なんとかしたい政府が上げるはずもありません。更には中国の好況は東芝不正経理みたいな事で見かけ上よかっただけなので、これももう立ち直れないでしょう。米国のリーマンショックの原因となったサブプライムローン不況に近いと言った方がいいかもしれません。何しろ、1979年に始まった一人っ子政策の申し子である一人っ子たちが、30歳半ばに達しています。一人っ子同士の結婚では親が亡くなれば家が余ることになり、これを売って資産ができたわけで、かつての日本の不動産バブルみたいな状況が起きたわけです。不動産バブルの金が株式市場に回れば、株は暴騰。さらに言えばかつてロックフェラー・センターを買おうとした日本と同じような状況になっていたのでしょう。

 中国景気の好調がこんな原因では、それはバブルなので、弾けたら終わり。次に正常に暴騰するまでーーそんなことがいつ起きるでしょうかーー今の不況のままです。当然、中国への輸出に頼っている日本や米国の企業の業績が上がるわけもなく、景気好転もなかなか難しいのではないでしょうか。10%に挙げられるはずもないと思います。