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パナマ文書周辺のお話

 パナマ文書が問題になっています。tax haven(発音:héivn)に関与している法人、自然人の名前を連ねた文書のようです。さすがのマスコミでも、tax heaven(発音:hévn)との混同をしないようにとの配慮から、この違いを説明している所が多いですね。確かに、tax haven はtax heavenでもあるので、知らないと間違えます。haven:ヘブンは、港とか、避難所とかいう意味なので、tax havenで租税回避地と訳されています。tax heaven:ヘイブンは税金天国とでもなるのでしょう。

 ところで、故ポール・アードマンの作品にThe Set-up「邦訳:無法投機」という物があります。

 新潮文庫 ISBN4-10-216905-9 森英明訳

で、tax havenを利用した大規模金融犯罪が描写されています。

 本書の注に下記の項目があります。

 「タークスカイコス諸島西インド諸島中の英領の群島。・・・英女王の任命する総督が統治。通貨は米ドル。バハマケイマン諸島などと並んで租税回避地となっており、企業に対する免税措置をねらったペーパー・カンパニーの登記が多い。・・・ブラック・マネーのロンダリングに利用されることが多い。」

 本書は、タックスヘブンとしてではなく、ブラックマネーのロンダリングに使われている様子を活写しています。

 パナマ文書のマスコミ解説では、ケイマン諸島が例示されていますね。

 

少し、引用してみます。

「『あのいまいましいカリブ海の銀行に送られた以上、われわれには手が出せん状態だ(Dr.Y註:と、イングランド銀行総裁は言った)』

 『その”われわれ”というのは誰の事です?(Dr.Y註:と、元FRB議長が言った)』

イングランド銀行だ』

『しかし、私の知っているかぎりでは、タークスカイコス諸島は英国の属領です』

『そのとおり。”行政上”は英国の支配下にある。総督の任命は女王が行う』

『しかし、総督にあれこれ命令するのは女王じゃなくて、イギリスの政府のはずです』

『そのとおりだ。ただ、われわれーつまりイングランド銀行ーは、総督にあれこれ言うことはできない』

『イギリス政府が総督を介してタークスカイコス諸島に振っている力は、金融問題にも及ぶものだと思いますが』

『そう。というより、もともと、あそこを熱帯地域版スイスにしようとしたのはイギリス政府だ。・・・』

『しかし、お話ですと、そういう不法な金融活動が許容の限界を超えたものになっている、ということをイギリス政府に納得させることができさえすれば、それに介入する権限はイギリス政府にあるということになりますが』

『たしかに、そうだ。しかし、イギリス政府を説得できる人間がいるかね・私自身やってみたが効果がなかった』

『アメリカ政府なら、できるんじゃないですかね』

 なかなか面白い本です。

 P.Erdman博士投資銀行家でしたが、ココア投機で大損害を銀行にかけたために投獄され、監獄の中で書いた本がベストセラーとなったというユニークな人です。