面白い医学本:Die革命  Dr.X vs. Dr.Y の世界

Die革命

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Dieは勿論、「死」ですが、読みはダイなので、医学の大革命という意味でしょうか。もう病死はしないと言う事が大テーマになっています。健康KnowHow本とは全くちがいます。まさにこのブログのテーマである「知的生活の技術」に必須の本です。

 

著者は医学はもう9合目に差し掛かった。病気では死ななくなる医療の完成が近いと説いています。

 

実は、Dr.Yもたまたまそう感じる事が多い昨今だけに書店で手に取ったわけです。山中先生のiPS細胞、本庶先生の抗ガン機能薬、オプジーボ、米国立がん研究所(NCI:National Cancer Institute)小林久隆先生の「近赤外光線免疫治療法」など医学の最高峰の成果を見ていると、もう医学に勝てる病原体は無くなるのではないかと思われるほどです。

 

手術にしても、カテーテルで体内に入って行きます。

ミクロの決死圏の進化した形です!

例えば、心臓弁膜症の手術の場合、ほんの5年前なら、胸を切り開き、肋骨を電動ノコで切って外し、人工心肺で生命を保持しつつ、心臓そのものにもメスを入れて切り開き、弁の形成をしたのではないかと思います。何時間掛かることでしょうか。Dr.Xならテキパキと失敗せずに体を切り刻んで進めるでしょう。とは言え、こんな野蛮な手術は80歳を超えるような高齢者には行なえません。Dr.Xと言えどもベッドで死を見守るだけだったはずです。

 

所が、Dr.Yの時代、文字通りもう時代が違います。次元が違うと言ったほうが良いでしょう。どこも切る事無くちょっと太めの注射をするようなTAVIという術式で、鼠径部から動脈にカテーテルを入れ、予め部品として作ってある弁を心臓まで血管内を運び、弁のあるべき位置に留置するだけです。核心的な部分は20分で終わってしまいます。準備をいれても1時間。患者への負担は極めて小さなものです。翌日にはもう歩けます。何しろ切っていない手術なのですから。そのうち、日帰りできるかも知れません。

 

先日テレビをみていたら本年84歳の女優小山明子さんーーと言っても若い人は知らないでしょうね。こちらも知らないでしょうが、映画監督大島渚氏の婦人ですーーが出ていて、この手術をしましたと言っていました。弁膜症は老化で起きるので老人に負担のない術式は素晴らしいものなのです。

 他の内臓の手術も内視鏡ですから、穴をあけるだけ。皮膚を切り開きません

Dr.X「私失敗しないので」のように体を外から切るという野蛮な手術はどんどんなくなって行きます。痛くも痒くもない手術!

 

そして、人工知能による診断。

 そのような最新の医療技術の話題がギッシリ詰まっています。ちょっと重いと感じても雰囲気を掴むだけで良いのです。もし、今、貴方や貴方の家族が病を持っていたら、是非一読をお薦めします。無駄な痛さを避けるためにも、最良の治療を受けるためにも、そして何より、死なないためにも。

 

著者は東大医学部を出て、東大准教授、会津大学教授などを歴任し、医療機器メーカーに勤務しています。その顛末についても一章割かれています。

 

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