クリスマスが近いからか、デパートでジュエリー・フェアーが始まっています。新聞にも宝石店のチラシが入り、宝石展示会と称するイベントがホテルなどの会議室を借りて催されています。
宝石の質を云々する事は実の所非常に難しく、特に、ルビー、サファイア、エメラルド、ヒスイ、など色石はもう消費者は多分、だまされ放題になります。ダイヤモンドだけはなんとか世界統一基準ともいえるものがあるので、一応の評価ができます。それを見ると、上記のような販売ルートのダイヤモンドは、その価値に比べて大変高価な価格がついていますね。
昭和51年に発行された「歪んだピラミッド」にはこの業界の悪辣さが余すところなく記されていますが、あれから三十有余年、事情はあまり変わっていません。
そんな商法の業界構造の結果として、ココ山岡が倒産し、セイコーが宝石事業から撤退したのは、まだ記憶に新しいところです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B3%E5%B1%B1%E5%B2%A1
ココ山岡は債務超過に陥り、1997年(平成9年)1月9日に自己破産を申し立て、翌日に破産宣告が下り、全店舗が閉鎖された。この際の負債総額は、約526億円であった。
http://www.geocities.jp/guanin_dna/akutoku6koko.html
被害者の生の声
http://blog.livedoor.jp/peaceman08/archives/64728421.html
老舗セイコージュエリー㈱ 解散 2007年10月12日
まずは、デパートの宝飾品売り場に出かけて、ダイヤモンドのアクセサリー・コーナに行ってみましょう。ダイヤモンドの4つのCの評価が書いてあるかどうかを見て見ましょう。
1.カラット。重さです。1カラットは0.2g。普通のデパートに多く置いてあるのは0.3カラット程度です。
2.カラー。ダイヤモンドは無色透明からはじまり黄色味が濃い程安くなります。ファンシーカラーと言う例外はありますが、そんなものは店の表には普通、おいてありませんから除きます。Dから始まり、Zまで等級が決まっています。
http://www.brilliance.co.jp/engagement/select/color.html#cut
3.クラリティ。透明度ですが、普通、石の中に入っている異物の状態を言います。
flawless(無傷)から始まって、I(imperfect; 不完全)までの等級が決められています。
4.カット。ExcellentからPoorまでの等級。
ダイヤモンドは普通、丸いラウンド・ブリリアント・カットにされますが、これが、いい加減だと全然光りません。ダイヤの光かたには、明るさ、虹が見える、キラリと煌めくの三種類ありますが、カットと形が悪いとまるで只のガラスのようにしか見えません。1カラット8万円で売っているデパートの通販ダイヤと、良心的な店でデパートに比べたら格安で売っている1カラット150万円の上級品と比べると、一目で分かります。
「輝き」は文章で書くことが難しいので、初めてダイヤを買おうと言う人は、99%売り子の言葉に騙されてしまっていると思います。電球型の点光源(スポットライト)の下では、Excellent以上のカットならダイヤは一時も休まずに虹の矢を放っています。単純に光るのではありません。光の矢を放って来て、目が痛いくらいです。しかも、どの方向から見ても、常時、です。
線香花火を思い出してください。10cm以上の光の矢がパチパチと、光条になって飛びますね。あの光が、一時も休まずに大量に出るのです。ダイヤをある方向にして「こうすると光ってますね」などというのは、ダメです。それは、カットGood以下でクラリティI以下のダイヤでしょう。
VeryGoodなら、Excellentほどではなくても満足の行く虹を飛ばします。線香花火は最終段階では、火口の周りで3mm程度の直径でグジグジと微かに光を出していますが、ダメなダイヤモンドもそんな程度の光です。この光を「ほら、光ってますでしょ」と言われても、それは本来のダイヤモンドの光り方ではありません。これが、ダイヤモンドを買う時の見かけの、そして最初の判断基準でしょう。
ダイヤモンドは色がないので虹を発して輝かなければ無意味なのです。
これはキュービックジルコニアですが、光り方の参考までに。ファイヤーが良く出ています。これがダイヤモンドの醍醐味であり、存在意義なのです。
下の程度ではだめなダイヤです。
下のダイヤモンドはGoodカットですが、Goodですと、この程度が精々の輝きでしょう。ファイヤーが長く伸びていません。
ダイヤモンド評価の詳しくは下記を参照してください。ちょっと所々、文章がおかしいですが、些細なことなので気にしないで読んでみましょう。ダイヤモンドが理解できます。
http://www.houseki-mall.com/certificate.html
http://gem2.net/ja/detail/diamond.html
http://www.dia-watanabe.co.jp/grade.html
http://www.brilliance.co.jp/perfectguide/aboutdiamond/
http://www.feelsogood.jp/about_d.html
さて、デパートでも、チラシでも、豪華さを装ったホテル等での展示会でも、売られているダイヤモンドにこの4つのCがかかれているかどうかを見てください。書いてあれば信頼できます。でも、殆ど書いてありません。ちなみに、手元の東証一部上場の大手小売業者のチラシでは、1個か2個だけ、「カラー:H、クラリティ:SI」と書いてありました。でも、カットは書いてありません。他のダイヤモンドは、グレードを書けないレベルのものなのでしょうか。
高島屋が出している通販のダイヤモンドを見て見ましょう。
「・・・0.5ctのダイヤを買い付けた時に、わずかに規格に満たない規格外の物を集めることで、0.4ctでも0.5ct並のボリューム感をお楽しみいただけます。・・・」
-- http://ropping.tv-asahi.co.jp/selection/disp/CSfLastGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=57836
宝石は、財産になりません。
チラシなどに良く書いてある「参考価格」を見れば分かりますが、実勢価格は半値程度になっています。上記の「歪んだピラミッド」には、有名デパートで買った1000万円のダイヤモンドも換金すると50万円にすぎないという実態が記されています。40年近く前の事ですが、換金性がないことは今も同様です。財産なら、買いと売りの差が極めて少ない「金」:ゴールドを買う事でしょう。ああ、最近、オークションに出されたハプスブルグ家ゆかりの大粒ダイヤモンドは別ですよ。サザビーズなどの本物のオークションに出されるようなものは骨董的価値がありますから財産になるでしょう。
さて、ダイヤモンドを買うなら4Cを鑑定書で確認してから、かつ、その品位のダイヤモンドの適正価格を調べて買いましょう。デパートが鑑定書を見せれば、その品位は信用できますが、価格は信用できるかどうかは別のことです。市場価格の倍になっているかもしれません。
ダイヤモンドの市場価格の例
http://www.ryu-tsu.co.jp/kakaku.html
http://www.takara-kiho.co.jp/ から「ダイヤ価格表」
http://item.rakuten.co.jp/ainint/c/0000000129/
http://www.fsg-diamond.com/products/list16.html
http://www.feelsogood.jp/market.html 買取価格
http://www.nandemo-kaitori.com/diamond/ 買取価格4C一覧
Flawless, D, Excellent H&C などは市場には出ないと言うことです。0.1カラットならあるかもしれません。
Dr.は、H、VS、Excellent 以上なら、事実上、最上かと思っています。事実、Jまでがほぼ無色で、Hが標準とされているようです。この辺りのグレードで十分に物凄く、虹のように輝きますよ。 Iカラー、SIクラリティ、VeryGoodカットでもダイヤモンドの美しさ、虹を見るには、十分でしょう。もっと言えば、色はどうでもよいのです。黄色が嫌いでないのならZカラー(LightYellow)でも良いのです。黄色が気になるならゴールドの型枠とチェーンにすれば良いだけのことです。
黄色は安いと言われていますが、買う立場で見ると実際にはそれほど安くはなっていません。LYで良いから1カラットのSI、VeryGoodを買おうと思って調べれば分かります。 クラリティやカットが悪いと何分の一にも安くなりますが、Jに比べてLight Yellowは数割も安くならない印象です。
問題は、クラリティとカットで、SI以上、VeryGood以上を選ぶことです。入れ物の蓋を開けた瞬間、光の虹の束が、待っていましたというように飛び出してきます。上のほうで「H、SI」のレベルだとチラシに記載していると書きましたが、これでカットがVeryGood以上なら、美しさを堪能するには十分だからです。そもそも、0.3カラットのペンダントのダイヤって直径4mm強なので1mも離れたら何がなんだかわかりません。ダイヤ特有の煌めきで分かるだけみたいなものです。それなのに、その中にある150ミクロンの異物なんて見えるわけがないでしょう。その意味で、機能的には、SI(Slightly Included)ならFlawless(無傷)と同じようなものです。色だって、台座や衣服の色が干渉するので、Dなんて無意味なのです。まして、台座を18Kの金にしたら、その色が映るので、もう、Zだって普通に見ている分には分かりません。ただ、カットだけは良くないと、光らないし、煌めきも薄いので、VeryGoodを譲れません。
Zカラーって最悪と思われがちですが、そんな事はまったくありません。Zより、黄色が濃くなるとファンシーカラーの「カナリー」などと言ってDよりも高価になったりするのです。つまり、Zカラーの黄色というのはLightYellowと言ってほんのりとした黄色にすぎませんから、Excellentカットなら綺麗に輝きます。但し、Dr.は「褐色=ブラウン」は嫌いです。主観ですが、これは美しくありません。それに、濃い褐色のダイヤを「シャンパンカラー」などと美辞麗句で飾って売っている態度には辟易します。「コーヒーカラー」か、譲って「コニャックカラー」と言うべきでしょう。尤も、宝飾業界と関係の無い第三者の色見本で「シャンパン」を見てみると、なるほど淡いとも言えない褐色に見えないわけではないのですが。
色見本: http://www.colordic.org/y/
カラーの度合いの例:
http://www.fk-jrc.com/content/purchase-diamond4c.html
http://livedoor.blogimg.jp/koharu1977/imgs/4/f/4fd5260e.png
SIなら、肉眼で見えない内包物なので内部の光の動きにもほとんど影響ありません。つまりは、普通に見ている分にはダイヤモンドの美しさには何の影響もありません。尤も、ダイヤモンドを財産と見てしまって、美しさとは無関係の骨董的評価基準で判断するのならカラーは問題になるのでしょう。しかし、宝石は財産になりません。質屋に持って行くことを前提にするのなら、田中貴金属で金塊を買いましょう。
こんな記事をWebで見ました:
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1148408041
「質問
very light yellow と表記されているダイヤモンドは例えば1ct以上あり、 かつクラリティがVS以上あったとしてもたいしてダイヤモンドとしての価値はないのでしょうか?はっきりとした黄色ではなくK以下の黄色味を帯びているダイヤモンドの大粒な物をよく見かけるので気になりました。
1ct超のダイヤモンドでも黄色がかった物ではただ大きいというだけで価値としては低いと見なされるのかなと…。カラーもクラリティも良くて更に大きさもあれば申し分ないですけど。実はデザインが気に入ったリングがこの質問の内容なのですがカラーだけが気になってしまって。
回答の一部
でも、個人的にはイエロー掛かったダイヤモンドはプラチナの台に乗せると黄色が目立ちますが、ゴールドの台に乗せると金色と相まってとても綺麗に見えますので好きです。購入を悩んでいるリングが金台の品物なら私はお勧めです。」
肝心なカットが無視されていますが、VeryGood以上なら、Dr.もこの回答者と同じ回答をします。18金の台座に入れて用いれば大層美しいリングあるいはペンダントになります。
下に示したダイヤモンドはVeryLightYellowでNカラー以下の、VeryGoodカット、SIものですが、このレベルなら十分に明るく、美しく輝き、煌めきます。それは、3Excellent H&Qにはかないませんけどね。単独で見ていれば十二分に綺麗です。
より引用。
しかし、グレードが書いてないダイヤを買うのなら、キュービックジルコニアにしておきなさい。この方がはるかに本物の上級ダイヤモンドに近い光の遊戯をしてくれます。
売り場の生の声:
「両方とも百貨店で働いて居ましたが 場所代って高いんですよ。
QVCの放映権?も高いんでしょうけど、、。
そして広告料!JJなんかの雑誌で小冊子をつけたり 目次前(前に乗せるほど高い)に広告を載せるのだって 相当です。
ドラマやアナウンサーへの提供も大きいです。
人件費も大きいです。
そして新作を毎シーズンごとに打ち出していくのですが 実店舗でお客様に見せるのに 受注販売って訳には行かないので
店舗数×2個とか リングなら各サイズ1個とか用意するんですが 効率が悪いんです。
新作よりも定番って言われる物のが売れるんですが 新鮮味とかも大切なので、、。
店頭販売が多いと傷なんかで B品になったりする事も多いです。
ショーケースに飾る分の在庫だって相当です。
いつまでも同じものは並べて居られないので ファミリーセールで消化したり もしくは溶かしていました。セールすればいいのにって思っていましたが 売ることでラッピングコストや人件費・安売りのイメージとか 会社は色々と複雑です。」
--http://ameblo.jp/shopping-daisuki/entry-10229314471.html
「歪んだピラミッド」根本き著 すばる書房 昭和51年
この表は同グレードのダイヤモンドの価格表です。三越は、「自然物である限りはFlawlessということはありえないので、最上級をVVS1とする」としていると書かれています。松坂屋で1000万円のものが三越では280万円程度で買えるということです。昭和51年の出版時のことです。
著者の根本氏は、外務省の特命全権大使をされた人であり、各国で大使を勤めていて、日本の宝石業界の歪んだ構造に気付いてこの本を書かれたということです。