奄美大島旅案内

 奄美大島に行ってきました。3泊4日です。行く前に無数のWebの奄美大島案内サイトを見て入念な下調べをしたのですが、何が名所か、何が美味しい地元料理か、何が名産かが今一つ分かりにくく、胸に響いてきませんでした。要するに特段すごい物は何もないのです。沖縄の6,7割程度の面積の島なのですから、金閣寺やら、平等院鳳凰堂やら、白鷺城やら、根釧原野やら、富士山やら、そういうものは期待できないのです。それにも拘らず、帰って来てからもう一度行きたいという気分が起きてなりません、そんな島なのです。きっと、冬になったらもう一度暖を求めて行くと思います。

 それを前提にしてDr.の独断で、総花的でなく本当に良かった所を挙げてみましょう。

 下に挙げた場所の詳しくはここ↓を見てください。  http://www.mapple.net/bythemearea/a13b0c0/0704080300/ranking_all_newer.htm

 まず、脚廻りです。奄美大島は国道58号が非常に良く整備されていて、北端近くにある空港から暫く走って58号にのると、南端にある古仁屋(こにや)まで快適にドライブできます。大島は山の隆起が海上に残った島ですから長さ1~2Kmあるトンネルが至る所にあります。昔は谷間にある村々は山で隔たれていたのでしょう。このトンネルのお蔭で断崖絶壁を行くことなく安全にドライブできるのです。そして、この58号線沿いに概ねの名所が点々と散在しているのです。

 http://road.infobuild.jp/route58/amami.html

1.地元の食べ物:

 鶏飯(けいはん)。これに尽きます。これ以外には地元特産は何もないと思っておけば間違いないでしょう。亜熱帯の海は北の海と異なり「海の幸」に恵まれていないのです。3泊の夕食は3度とも異なる店での鶏飯でした。鶏肉を蒸してするめのように細く割いて、それをご飯の上に乗せます。これが旨い。その他、錦糸卵、味付けしいたけ、などなどの具を乗せるのですが、それよりも何よりもその上にかける鶏ガラスープが味を決める最大の要因です。これが旨い!!!何度でも食べたくなる味でした。

 ただ、このスープ、作り置きすると臭みが出てきます。団体に短時間で出すために大量に作り置きしてある店では、臭くて鼻をつまんで、息を殺してたべました。多分、鶏の油が酸化してしまっているのでしょう。味も煮詰まっているためか塩辛くて濃過ぎました。こういう店では二度と食べたくありません。

 お勧めの店は「ばしゃ山村」のホテルにあるレストランです。20分とか、かなりの時間、待たされますが、恐らく注文を受けてからスープを作っているのでしょう。味の濃さもちょうど良く、臭みは皆無で、実に美味しいものでした。もう一度でも、二度でも食べたい味です。その他、地元の広告紙に載っているような大手はお勧めしません。特に、店先が広く明らかに団体相手のお店は注意を要します。

2.名所・土産物

 上に挙げたような名所を期待してはいけません。そもそもレンタカーが前提の観光になりますから、車に乗れない人は名所めぐりは難しいでしょう。島全体を車で一周する事自体を楽しむつもりでいれば良いでしょう。

海底珊瑚遊覧奄美大島加計呂麻島(かけろまじま)の間にある大島海峡の海底珊瑚を潜水艇でみるのです。しかし、枯れて折れて海底に散らばっている珊瑚も多く、魚も熱帯魚のようには綺麗でなく、ちょっと期待はずれでしたが、一度は試してみていいのでは。奄美本島南端の古仁屋(こにや)に行って、「海の駅」から乗り込みます。本数が少ないので時間には注意です。

 http://www.ritou.com/spot/view-amami-a201.html

・ばしゃ山村ホテルから近い奄美パークも地元の文化を知るにはよい所です。こんなに大きな文化展示施設があることにむしろ驚きました。維持費が出るのだろうかと要らぬ心配をした位立派な施設です。

 http://www.amamipark.com/

・文化に興味のある人、地元の土産が買いたい人は、龍郷町(たつごうちょう)にある大島紬です。「ばしゃ山村」もそうでしたが、本当の村ではなく、「村」という名の企業です。土産売り場も広く、裏には大島紬の工場があって、500円だったか、ちょっとだけ料金を払えば、案内つきで大島紬製造過程を見学できます。大島紬製造過程を見る見学はここが最適でしょう。

 大島の場所の位置関係というのは分かりにくいのですが、住所で示しておきます。Mapionでも見てください。

大島紬村. 〒894-0411 鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945

 http://www.tumugi.co.jp/

・土産物は「ばしゃ山村」ホテルもかなり充実しています。

 財布とかバッグなど大島紬を部分使用した小物を買いたいのなら、ここと大島紬村の両方を見てから決めれば良いでしょう。同じ物でもバーゲンをやっていると値段が違いますから。

 なお、「ばしゃ」は「馬車」ではありません。「芭蕉(ばしょう)」の事で、これが群生している山が「ばしゃ山」です。薩摩藩によって絹である大島紬を着ることを禁止された島人が着ていたのがこの芭蕉の繊維で作った粗末な着物だったのです。ばしゃ山を持っている人は金持ちという象徴的な言葉のようです。

 大島紬の小物で気を付ける点は、大島紬を使っていない「大島紬模様」の染物があることです。「民芸」と書いてあるものは、本物ではなく、紬風である可能性があるので店員さんに聞いてみましょう。例えば、財布なら1000円前後ですと「紬風」、5000円くらいですと本物、という事があり得ます。

 ここでは、夜光貝という巨大な巻貝から作ったペンダントヘッドを大島紬を撚って紐にしたネックレスに付けたものを売っています。珍しいもので、ここでしか見る事ができませんでした。写真を載せて置きます。ベージュの地に白・緑の模様が入った丸いヘッドは珍しく、知らなければ何が材料かわかりません。右側の丸いもので、直径は500円玉くらいかな。かなり大きいものです。

f:id:dr-yokohamaner:20131121130004j:plain

・奄美物産センターも豊富に物が置いてあります。58号線なのでアクセスも楽です。

鹿児島県大島郡龍郷町大勝988-1

・実は、食べ物ですと、近くにビッグIIという大きなスーパがあります。首都圏の大型スーパにひけをとらない位の大型店です。DR.はここでケーキ、黒糖などの食べ物の土産物を大量に買い込んで宅配便で我が家に送りました。

http://www.big2.co.jp/blog/big2/tenpo_amami_uriba.html

空港と龍郷町の間の58号線沿線に上記の施設が点在しています。

ハブとマングースの闘いのショーは、現在ではありません。ハブ撲滅のためにマングースを導入したのですが、マングースが増えすぎて奄美野黒うさぎ(あまみのくろうさぎ)を襲って環境破壊を起こし始めたので、今度はマングースが駆除されてしまったのです。ハブが売りのお店に行くとかつてのショーのDVDが見られるだけです。

・マングローブ

 道の駅も併設されているのですが、ちょっとした小さな土産物店とトイレくらいしか期待できません。マングローブは、そこから入場料を払って歩いて入っていきます。膝が痛んで脚の良くない連れがあるDr.はこれは断念しました。係員から、山肌を削って付けた、建物横の上の道からマングローブの森が見えると聞かされ、車で走りました。確かに木々の梢が見えましたが、上から見ては只の森の茂みが見えるだけです。やはり、マングローブは木々の足元が見えないと何にもなりません。脚さえよければカヌーを予約して行くと良いのかもしれません。

・ダウンタウン

 一度は市役所がある名瀬地区の繁華街を歩こうと思ったのですが、渋滞が酷く、道が狭く、繁華街もどうみても寂れた田舎の街という感じで、駐車場も沢山あると案内書には書いてあるのですが、どこにあるか分からないワンコインパークみたいなものらしく、2,3度街の中に入ったのですが、車から降りませんでした。脚が達者な人なら少し離れたカーパークで降りて歩いてみるのもいいかも知れません。

3.宿泊

  これが分かりにくいのです。それで、無難に一番高そうなホテルを選びました。奄美大島ホテルリゾートコーラルパームスです。空港の北側、近い所にあります。しかし、主要道路から外れてサトウキビ畑の中のあぜ道のような、車がすれ違えないほど細い道を5分程走った海岸にありますから、明るい内に行かないと道に迷います。カーナビがあっても分かりにくい所です。

 結論から言えばこのホテルは成功でした。今上天皇が若かりし折に数度、ここに宿泊されています。南洋のリゾートホテルという感じの作りで、白亜の壁にオレンジ色の屋根という作りです。ただ、古くなっているので、ドアなどにはサビが出ています。テレビは小さくてベッドからでは見えない位ですし、音声は割れるので聞き取りにくい状態でした。朝食はバイキングでしたが、シーズンオフで客が少ないからか、食べ門は貧弱でした。まあ、しかし、そんな事はどうでも良くなる位の雰囲気が良い、庭先も部屋も広いホテルでお勧めです。

 リゾートホテルではなく、シティホテル風をお好みなら「奄美リゾートホテルティダムーン」が新しくて良いでしょう。空港から南方(というか、西方というか)に15分位ドライブすると左側にあります。ここは、どうもホテル自身のコレクションで大島紬の博物館も兼ねていて、頼めば一室で見せてもらえます。上記「大島紬村」の土産物店と併せて見れば目の保養になります。着物やコートが100万円以上するので買う気にはなりませんけど。 

4.交通

 羽田からB737系の300人乗りくらいの直行便が日に1便、昼頃の乗りやすい時間帯に出ています。B737って、なんと古いと思ったのですが、機体は古くありませんし、原型機と違って長胴機になっています。枯れた設計なので、火を噴く最新の787より安心な気がしました。オフシーズンにも拘らず行きも帰りも満席でした。地元の人がビジネスで首都圏に出てきている?2時間ちょっとくらいだったかの飛行です。楽なものです。

 レンタカーを予約しておくと、空港で案内板を胸の前に掲げて待っていてくれます。空港から徒歩で5分くらい離れたところに店舗があるので、どのレンタカーでも迎えに来てくれるのです。

 本島南端に隣接する加計呂麻島は、名前に惹かれて行ってみたかったのですが、どうも田舎暮らしが嫌いな元シティボーイには何もなさそうに見えたので止めました。古仁屋の「海の駅」から頻繁に安い料金のフェリーが出ているので簡単に行けそうです。加計呂麻島には行かずに半潜水艇で1時間の海底の旅を楽しみました。

 お隣の喜界島にも行こうとして交通を調べたところ、なんと期待していたフェリーがないのです。いえ、正確に言えばあるにはあるのですが、鹿児島からこれら南方諸島を点々と結んでいるフェリーが、奄美大島ー喜界島と通過しているだけなので、日に一本、それも朝の6時とかに立ち寄るのに乗る事になるので、起きられず、日帰りできずなんで実質的に無きに等しいのです。その代わりに飛行機が飛んでいます。空中にいる時間は5分位。船なら1時間くらい亜熱帯の船旅を楽しめるのに!それで断念しました。強いて行くほどの名所も何もない島ですし。俊寛の像を見るくらいですから。

 この飛行機の旅については面白いサイトがあるのでご紹介しておきます。

「羽田から奄美大島へは、およそ 2 時間 30 分。

奄美大島空港と喜界空港の間は約 26km。

飛行時間は、わずか 5 分だ。

通常、飛行機は、ある程度の高度まで上がると、水平飛行に入る。

シートベルト着用サインが 「ポン」 という音と共に消え、

客室乗務員がサービスを始めるのが常だ。

ところが、奄美大島~喜界間の飛行は違った。

「ポン、ポン。」とサインが出るのである。  

要は、一瞬だけ、「シートベルトを着用しなくても良い時間」が流れるのだが、

すぐに着陸態勢に入るため、再び着用サインが発令されるのだ。

この間、およそ 1 秒。

客室乗務員も座りっぱなしである。

当然だ。立ち上がる暇がないのだから。

日本エアコミューターという航空会社は、日本航空系列である。

よって、従業員の制服や接客マニュアル等、

全て日本航空と同等のものを使用している。

奄美大島~喜界間の飛行においても、同様の体制が敷かれている。」

http://www.kikai-jima.com/

楽しい旅でした。