デイトレード考

 独白です。

 デイトレードは難しい。これまで中長期、つまり、数か月から3,4年のスパンでしか投資してこなかった身には1日で買い、売りをしてしまうなどということはなかなかできない。そもそも、株を買う場合、これは99.9%の確率でこの程度までは上がるだろうと熟考して銘柄を選ぶ。それを一日で売るなんてことはなかなかできない。明日も、明後日も上げ続けると考えているわけだから。それにそんな良好な銘柄はごろごろしているわけではない。売ってしまったら、次の銘柄を選定するまで現金ポジッションで待たなくてはならない。つまり、お休みだ。

 しかし、デイトレードにも一つだけ利点がある。日を越さないので、不測の事態を考えなくても良い。大引けのあと、こちらが寝ている間にニューヨークマーケットで何が起きるかわからない。いや、夜も寝ずに起きていて、不測事態がNYSEで起きたことを知ったとしても、兜町は開いてないのだから何もできない。翌朝、寄り付きで大暴落になったらもう遅い。まして、金曜から月曜に引きずってしまうと、土日に何が起きるかわかったものじゃない。ウクライナで大戦闘が起きない保証はない。月曜には大暴落だ。一日でトレードを閉めてしまっていれば、その恐れはない。尤も、必ず、買った株は上げている必要はあるが。

 まともな、つまり安全な銘柄なら一日に上げる幅など大したことはない。精々、2,3%だ。手数料は0.2%程度だから、ざっと2%の利幅としておく。これで、日常生活の金銭感覚なら数十万円の利益にならないとお話にならない。2%が20万円であるためには、元手は1000万円必要になる。つまり、その程度の元手がなければ株などやってもしかたない。ノーベル経済学賞学者の2人が始めたLTCMのように、もっと低い利益率で、しかし、ほぼ確実に大きな利益を上げるためには、レバレッジを数十倍もかける必要がある。元手の数十倍の借金をするということだ。それは身の破滅につながる。当然の帰結としてLTCMは破綻し、解散した。だから、株は絶対に借金でやってはならない。遊び金でしかしてはならない

 では、1000万円を単なる若いサラリーマンがどうやって稼ぎ出せるのか。最初は、だから中長期戦略だ。今でも、基本は中長期を守っている。デイトレードはあくまで世界経済の動きを追うための知的遊戯にすぎない。中長期では5倍~10倍を狙う。絶対にこれ以上下がらない株というものはあるのだ。2009年~2012年ころの日経平均がそうだ。2009年の日経平均7054円。日本の国力、産業力から考えてありえない数字だ。かつてはバブルとは言え、40000円近くまで行ったのだ。これまた、経営の、あるいは技術の本質的ではない一過的な原因のために暴落している一部上場の優良企業の株を仕込んでおけば、必ず数倍にはなる。富士重工をみると、2012年から2013年には5倍程度上がっている。100万円で仕込んでおけば500万円にはなったろう。

 もちろん、一朝一夕にはいかない。最低でも10年計画だ。日経平均は3~5年の周期で暴落を繰り返している。暴落して底値付近で半年以上待って、もう下がらないという時点で仕込んで、あとは寝て待つ。3,5年たてば、数倍になっている。10年で2,3回これを繰り返せば、10~20倍の利益が上げられる。

 しかし、寝て待っていては世界情勢に疎くなり、投資に失敗もする。実は、暴落する直前を敏感に察知しなければ、売る時が見えない。上がった頂上と、暴落した底の差の数倍で利益を上げようとしているのだから、寝てはいられない。常に世界情勢を見ている必要がある。暴落シグナルは半年、1年くらい前には出るだろう。リーマンショックというが、1年も前にサブプライムショックとして出ていた。どのみち「天井売れず」なのだ。天井を目指して持ち続けるリスクと、天井の手前どのくらいで売って儲けぞこなうかのトレードオフを判断しなければならない。持っていれば5倍とれたのに、早く売ったために4倍しかとれないかもしれないがそれでもいいかと判断することだ。それで、センサーを研ぎ澄ませるために、基本路線の中長期とは別に、遊びのデイトレードだ。

 が、やはり、デイトレードには、「まだ上がると読んでいるのに、売るのか」という自分の判断力を疑うという苦渋の決断が必要になる。そんな苦渋の選択を態々することはない。それなら、スイングトレードだ。買った以上、1~2週間は自分の選択眼を信じて相場についていこう。一日ではなく、これだけ引っ張れば10%程度は利益があげられる。1000万円で掬いとれば、月に100万円は取れるだろう。特に今のような長期上昇基調にある時期はそうだ。取らぬ狸のなんとかだが、まあ、時に失敗しても、平均すればそんなレベルは取れるだろう。問題はそんな銘柄を見つけることができるか。それに掛っている。