NHK大河ドラマ 花燃ゆ

 こういう有名でもない人物を無理やりヒロインにして、周りにあまり有名でもない多くの人々を配したドラマというものは取っ付きが悪いのですが、長州のこの時代を、おおむね花燃ゆと同じ内容で描いた小説があります。

司馬遼太郎氏の「世に棲む日日〈1〉~(4)」 (文春文庫)です。

この小説は長州改革の中心人物である高杉晋作が主人公で、花燃ゆのヒロイン文は、当然ながら元々無名なのでほとんど出てきません。吉田松陰の妹で久坂玄瑞の妻になったという程度の記述はあった記憶があります。

しかし、幕末の松下村塾生を中心に、長州藩が苦労に苦労を重ねて討幕に進む姿が、活写されています。司馬氏独特の皮肉とユーモアと史観が堪能できる傑作です。