米経済指標好調とNYダウ下落とFRB利上げタイミング

 昨日金曜は米国の失業率低下と雇用者数増加によりニューヨークダウ平均株価が279円下落しました。

労働省が発表した2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比29万5000人増加した。前月は23万9000人増と、速報値の25万7000人増から下方修正された。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト 予想の中央値は23万5000人増だった。家計調査に基づく失業率は5.5%と前月の5.7%から低下した。

」-- ブルームバーグ

 経済が良くなると株価が下がるのはおかしいのですが、こんなに好調だとイエレンFRB議長が6月に利上げする可能性が高まったと投資家が思った結果です。利子率が上がるとお金を借りづらくなります。つまり、社会の金回りが悪くなります。この状態を不況というのですが、当然、企業収益が悪化し、その結果株価が下がるだろうと思ってしまい売り急いだのです。気が早いというのか、気が小さいというのか。また、米国経済好調の結果、当然ドルが高くなり、一気に1ドル120円の天井を抜いてしまいました。

 さて、ちょっと前まではダウが下がると、連れて下がる日経平均、円が下がると上がる日経平均だったのですが、今回は上がるのか、下がるのか。矛盾した原因が出ていますので、月曜はどうなるんでしょう。最近はやっと独り立ちしていますので、日本の景気状況だけで動くのかも知れません。

 来週、日経平均は19000円を抜いていくかも知れないので目が離せません。FRBの利上げが心配とはいえ、そもそも米国経済が好調につきの利上げなので本気でNYダウが下げるのはおかしいのです。単純な怯え売りなので一息つけばダウも経済のファンダメンタルズに従って上がって行くことでしょう。日経平均も同様です。

 ところで、米国の企業の中にはドル独歩高を憂いている企業もあり、これは米経済の下押し要因になるという分析もあります。丁度円安(というより、本来のレベルに戻った)で、苦しがった日本の輸入企業がいるように、ドル高で苦しがっている米国の輸出企業があるということです。どちらも甘い為替におんぶした緩い経営の結果なので当然のことです。FRBの利上げに加えてこの要因も加味しておくことは多少必要でしょうが、緩い経営の企業に限定される要因なので大きな要因にはならないでしょう。

 5月はヘッジファンドの決算などによる「Sell in May」のアノマリーがあり、6月は利上げの危惧があるとなると、3月か4月のうちに19000円を大きく越えてくればETFは一旦手仕舞いするのかなあと言う思いです。尤も、その後、初夏から初秋にかけて1000円以上の日経平均の下げがないと、そもそも、20000円に向けて戻っていく経済状況なので、売っても無意味に手数料を取られるだけのことですが。

 この下げが起きる要因はあまり考えられないのですね。FRBの利上げは経済が良いからするのであって、それで株価が下げること自体がおかしいので、臆病者たちが立ち直ればすぐに戻すでしょう。あとは、ギリシャウクライナも多少問題か、という程度でしょうか。それ以外の突発的アクシデントは、これは考えても仕方ないかな。contingency planは不測事態に対する対応といわれますが、そもそも不測事態なのに対応策が考えられていれば、それは不測じゃないですし。