人工知能・ロボットに言葉が使えない理由

 Lower profits do not mean lower prices.

どういう意味なんでしょう。中学2年生以上なら一応誰でも翻訳はできるでしょう。

 より低い利益はより低い価格を意味しない。

全然意味がわかりません。

 (企業の)減益は株価下落を意味しない。

なのだそうです。

 東京MXのWorld Marketzの中で出てきた一節です。翻訳とは単語の置き換えではなく、その文章が文脈の中で何を意味しているかを理解し、それを相手方言語ではどのように表現するかを考える仕業なのです。つまり、普通の人間ではたとえバイリンガルであってもできることではないのです。専門家が一般人の聴衆に外国語で講演する時、同時通訳を使うことがありますが、同時通訳者は事前に綿密な打ち合わせをします。でなければ、減益は・・・ような通訳など無理なのです。より低い利益は・・・と訳しては聴衆の方が当惑することになります。Dr.の訳は;

  減益になったからといって必ず株価が下落するわけではない。

です。この方がこなれていて、翻訳臭さがないと思います。

 更には、profitもpriceも複数形になっていますので、日本語には訳出が難しい「どの企業であれ、一般的に」が含意されています。こんなフレーズを日本語訳の中にいれては冗長になってしまいます。冠詞や数の概念に薄い日本語では「言わなくても分かるでしょ」的な表現になります。

  TVでも展示博覧会でも、ロボットがいかにも人間のように言葉を話せますというようなデモがあったら、それは100%嘘です。とても今の技術では無理なのです。