BS103 運命の分岐点; リーマンショックと、格付け会社の腐敗

 6月24日にリーマンショックの物語をBS103で放映していました。1時間という時間制限もありますが、あまり深く事実をえぐったものではありませんでした。

下記の本は実に深い内容になっています:

強欲の帝国」チャールズ・ファーガソン 早川書房 2014.4

ISBN978-4-15-209450-6

 これを読めばリーマンショックの本質が分かります。著者は、世界最高レベルの大学、カリフォルニア大学バークレー校(UCB)で数学を、MITで政治学を専攻したPh.Dです。

 そういえば、どこだったか忘れましたが米国の格付け会社が日本国債をアフリカかどこかの超後進国並みの格にしました。去年か、今年のことです。呆れて物が言えませんが、それほどに彼らは腐敗しているのです。P.アードマンの「ゼロクーポンを買い戻せ」でも格付け会社の恣意性、デタラメさが描写されていますが、格付けはまったくあてにはなりません。何しろ、格付け会社と言う私企業が自分の利益を求めて他社を評価していうのですから。

 上の本から引用しましょう。

「格付けプロセスが腐敗した理由は、買い手ではなく発行者が手数料を払うようになったこと(Dr.Y註:つまり、お手盛りということです。賄賂を払えば高格付けにしてくれます)、・・・1970年代までは、格付け会社は格付けした証券の買い手から手数料をとっていた。その証券を組成し、販売する投資銀行からではなかったのだ。だが、その慣行が変わり始め、2000年には三つの主要格付け会社のすべてが、新証券の格付けに対する手数料を、ほぼ、全面的に、その証券を発行した大手投資銀行からとるようになっていた。証券の発行者の数は限られていたので、格付け会社は発行者にきわめて協力的だった(Dr.Y註:日本銀行は彼らに賄賂を出していません)。・・・

格付け会社投資銀行自身社債も格付けしていたのである。・・・格下げしたら重要な顧客である銀行の怒りを買うので、銀行の社債は決して格下げされなかった。それどころか、格付け会社は・・・高格付けを得るように証券を組成するにはどうすればよいかを教えることで、巨額の手数料をとっていたのである(Dr.Y註:賄賂ですね)。個人のレベルでは、事態はさらにひどかった。格付け会社の報酬は投資銀行よりかなり低かったので、格付け会社の社員は投資銀行への転職を願って、自分の担当している銀行に懸命に気に入られようとしていた。」

-- pp.67-68

  日銀もS&Pやムーディーズ、それともう一つ、小さななんとかいう格付け会社コンサルティング名目で大金を支払えば、たちまち日本国債の格付けはAAAになるのです。米国の金融周辺会社はそんなものです。