冬の峠ごえの怖さ: 軽井沢バス事故を鑑みて

 Dr.Yも峠で谷に落ちそうになったことがあります。今日のような良い天気の日が続いていた正月です。南に面した細い道を登っていました。時速は最高でも30km程度しか出せない道でした。頂上に達し下りになる直前、道の上に小麦粉のようなものが撒かれているように見えました。北側の道になります。何かをこぼした車がいたのかと思った瞬間、つるりと滑りました。霜だったのでしょう。快晴の真昼で、陽は燦々と照り注いでいても峠の北側はその恩恵を受けません。

 時速20kmであっても滑ればハンドルもブレーキも効きません。ハンドルは山側にきったまま、つまり車輪は右向きになったまま直進して谷側のガードレールに激突、山側に跳ね返され崖に激突、再びガードレールにぶつかってそこで止まりました。九死に一生とはこの事です。雨が降ったわけでも、雪が残っていたわけでもない、大平洋に面した陽当たりの良い峠です。北側は怖いのです。

 碓井峠で深夜の冷えた山中の峠では、何がおきるか分かりません。どこか部分的に滑りやすい路面があって、そこに高速で進入すれば、十分にスリップする可能性が考えられます。

 卒論も書き終わり、解放感に包まれてスキー旅行に出た学生、それが一転して悲劇に変わった人々の心は察するに余りあります。亡くなられた方々の御冥福をお祈りします。