日帰り手術と入院のどちらが楽か?

キーワード 日帰り手術 副鼻腔炎 内視鏡

 日帰り手術と、入院とどちらが良いかは言うまでもなく一概には言えません。では、どういう条件の場合、どちらが良いと判断できるのか、この条件は人それぞれの事情によります。最も大きな条件となると思われるものを書き出してみます。

 日帰り手術をして、それ以後、どのような処置になるか?

 これが大きな要素だと思います。

 手術が終わり家に帰り、後は通院無しということなら日帰り手術も悪くないかも知れません。しかし、術後の傷の手当の為に引き続き何日も通院しなければならないとなると、通院の時間、体への負担を考慮する必要があります

 健康な時なら電車に乗ることは体に何の負担もないのですが、手術で体が痛んでいる時は跨線橋を上ったり下りたりすることは大きな負担になります。家と病院の距離が近ければタクシーや家族の運転で通院もできますが、遠い場合、そうもできません。

 Dr.Yの経験を書いてみます。
 副鼻腔炎のポリープ除去の手術をしました。鼻の孔から内視鏡を入れてポリープを取るだけなので、今時は、クリニックなら日帰り手術でできます。都内に幾つもあります。通常、クリニックは入院設備がなく、日帰りせざるをえないのです。術後は近隣のホテルに泊まるか、タクシーで帰宅するかが条件になります。全身麻酔での手術ですから、とても電車で帰ることができる体力は残されていないでしょう。Dr.Yの場合、入院を選んだのでそのままベッドで翌日まで正体なく寝むりこんでしまいました。

 

 日帰りの場合、術後3,4時間は全身麻酔が完全に覚めるまで回復室で休むことになりますが、それから服を着て車に乗り込み揺られて帰途につくのはかなり辛いと思います。

 問題は、自宅に帰り、そのまま傷が治るまで寝ていれば良いかというと、そうでもないことです。恐らく数回は術後の手当てに通院しなくてはなりません副鼻腔炎の場合、副鼻腔に卵のS程度の大きさのガーゼの塊が、癒着防止の為に入れられます。2日後くらいにこれを取り出してもらう必要があります。

 Dr.Yは結局、入院を選んだのですが、こんなスケジュールでした。

1日目 午前中手術 3時間程度 全身麻酔
 まったく苦痛はありません。麻酔薬は点滴で入れますので、たかだか注射の痛みだけです。呼吸管理のため、筋弛緩剤も点滴で入れます。麻酔が効いてから口に送気管を入れて機械呼吸させます。麻酔下なので苦痛はありません。麻酔が切れてからしばらくはちょっと喉に違和感があり、声が1,2日はかすれたりします。

 麻酔が切れて意識が戻った時は、吐き気がしたり、ちょっと気分が悪いかもしれません。それも一時間でした。
 傷口の痛みはありません。唾を吐くと少し血が混じる程度です。
 四捨五入して言ってしまえば、痛みも出血もないということです。これは驚きです

 

2日目 この日は休憩

 普通にベッドでTVを見たり、ネットをしたり、本を読んだりして遊んでいました。
 手術なのに痛みが無いということは有りがたいことです。

 

 3日目 午前に診察。ガーゼの取り出しと副鼻腔の消毒。
 これは、擦り傷に貼ったガーゼを取り去る程度の痛みはあります。生傷につけたガーゼを取り出すのですからかなり苦痛です。ただ、10秒はかかりません。あっという間です。
 この頃から、傷に対する当然の反応として熱が出ます。体温を上げて免疫を強化する体の自然の反応です。37.8℃がこの日一日続きました。
 この日が山です。


 4日目 2日目と同じで快調です。

 もう退院しても良いのでしょうが、様子を見ます。
 夕方、体調万全という事でドクターと明日の退院を確認しました。


 5日目 朝、軽く診察を受けて、退院。

 

 もし、日帰り手術をしたとしても、3日目に病院に出かけなければなりません(病院により多少の違いはあるでしょう)。その後も、数回は通院することになります。3日目は、まだとても、満員電車で立って通う気力も体力もありません。Dr.Yの場合、家と病院の間がタクシーで片道2万円ですので、日帰りして往復4万円かけてタクシーで通うより入院した方が個室でも安かったのです。