ランニングコスト比較。ちょっと驚きの結果でした。
エアコンは、石油ファンヒータ(当然石油ストーブ)の60%弱。
他の電気使用の暖房機の20%。1/5です!
同一熱量を発生する為の各費用を計算します。
前提
物理定数
灯油の発熱量: 8,718kcal/L
電気の発熱量: 860kcal/kwh
灯油1L の発熱量を出すのに必要な電気エネルギー:8718/860 = 10.1kwh ≒ 10kwh
つまり、発熱量的には 1L≒10kwh
理論値 or 実測値
エアコンの効率 = 出力熱エネルギ/入力電気エネルギ ≒5
エアコンは一定の電力で一定の熱を発生/排出しているわけではないので、自動車の燃費計算のようにある条件で計算しています。それが、通年エネルギー消費効率(APF)で、概ね5以上です。
能力 kw 消費電力 w
暖房 5.0 950
のように記載されている、5000/950 のことではありません。これは、定格能力で動いている時の値で、COP。暖房だけなら、冷房も含めた通年よりこちらの方が良いきがしますが、調べてないので分かりません。「定格」が、また「普通に使った時」のような不思議な値ですので、どのみち、目安程度。そう思っておきましょう。
これなどAPFが7.4倍もあります。つまり、1000wの電気で7400wの熱が出るという事です。
なお、エアコンの(冷暖房)能力は電力の単位wで表されています。カロリーに変換したければ、上記の物理定数で変換できます。
このエアコンの能力5.0kwで1時間暖房すれば、発生した熱は5.0 x 1 kwhですから、5x860kcal = 4,300kcal です。灯油を半リッター燃やしたのとほぼ同じですね。消費電力は0.95kwh≒ 1kwhなので約28円。半リッターの灯油は50円。エアコンの運転費は灯油の60%弱なのです。
時価 2019.1~2020.1
電気代 ¥28/kwh
灯油代 ¥100/L
細かな差異は無視:ファンヒータの電気量、エアコンの余熱、霜取り電気量、類似環境を作り出すための加湿器の電気量、etc.
ネットには、偶々手元にあった石油ファンヒータとエアコンの運転経費を比較したものがありますが、比較の対象が同一でないので、何の根拠にもなりませんね。鉄と羽毛とどちらが重いか、みたいで。
以下の数値は概算です。
電気ヒータは、電気を使う暖房機で、エアコン以外のもの。オイルヒータ、セラミックヒータ、シース線、など、どう言葉を変えようと、外観を変えようと、エアコン以外は全て電熱線で、電気エネルギー → 熱エネルギー 変換です。膨大な電力を貪り食います。
まず、電気料金。
月に8000円〜20000円を、東電の最安コース「電化上手」と、割安料金のエネオス電気でデータを取った所、23円/kwh〜30円/kwhでした。電気料金は、前にも書きましたが、使うほどに単価が高くなりますし、同じ電力会社でもコースによって違いますし、自由化により電力会社によっても違いますので一概に言えませんが、他のデータは上の範囲に入ったので、28円/kwhで計算します。脚注)
¥28/kwh
1000wの電気ヒータを1時間使うと、1kw x 1hour ですから、1kwh。28円ですね。
★1日10時間使うとすれば、28 x 10=280円。
1000wの機器を1日10時間使えば、
1月で:280x30= 8400円
1000wの機器を1日20時間使えば、
1月で:8400x2=16800円
★1200wの機器を1日20時間使えば、
1月で:2割増なので、16800x1.2=20160円
同じw数の最新のエアコンなら、電気ヒータの5倍程度の熱量がでます。
通年エネルギー消費効率(APF)は、5以上。6以上なんてものもあります。
定格運転でも、5以上のものも。再掲します。
現代家電の基礎用語: 第5回:エアコンのスペック値「COP/APF」とは
APF6.2。定格でも、5000/890 = 5.6です。簡単に言うと、ドライヤー、トースター、オイルヒータ、セラミックヒータ、ダイソンなどの電気ヒータの6.2倍。
これはトイレに置いていた人感センサ付きセラミックヒータ。800wです。電熱ヒータが弱い上にファンの吹き出しも弱く、トイレでは役にたちませんでした。
この形のヒータもあります。これは単なる扇風機です。
さて、これも一概に計算出来ませんが、1000wの電気ヒータ暖房では3畳か4畳半の部屋ならともかく10畳のリビングはなかなか暖まりません。
実環境での実験では、1200wの電熱線オイルヒータ、高断熱、高気密15畳の部屋で、外気0℃〜5℃で、10時間暖めると20℃程度になるので、そのまま、日に20時間運転すれば22℃をキープできました。人の出入り、時々換気、はあります。
①これで、月に720kwh。20160円ですから、同じ気温状態で、強力なエアコンだけを使えば、計算上、1/5の4032円と言うことになります。まあ、体感的にそんなものでしょうか。
ーー実測の電気料金だけから算出したエアコンの燃費。仮定は、エアコン燃費は電気ヒータの1/5のみ。
さて、次はファンヒータ。ファンの電気料は無視して、灯油の価格だけとします。
灯油の発熱量: 8,718kcal/リットル
https://www.paj.gr.jp/statis/kansan/
また、電気の発熱量は: 1kwh = 860kcal
灯油1リットルの発熱量を電気のkwhに変換すると、8718/860 ≈ 10kwh → 電気の280円相当。覚えやすい値です。
灯油1Lは、10kwh相当。
灯油18リットルは、2020年1月価格で、1800円。
つまり、灯油1リットルは100円。
★電気代280円の電気ヒータが出す熱量は、灯油の100円が出す熱量ですね。電気ヒータは、灯油の2.8倍かかります。
★電気代56円(280/5)のエアコンが出す熱量は、灯油の100円が出す熱量。
灯油、つまり石油ファンヒータはエアコンの倍弱の運転費用が掛かります。
これは、意外でした。そもそも、エアコン暖房は「ズバ暖霧ヶ峰」を入れるまで、物の役に立たなかったので気にもして居ませんでした。
②灯油は、月に4x18=72リットル使っています。1L=10kwhなので、
72x10=720kwh。なんと、期せずして①の720kwhと同じになりました! 灯油代7200円/月です。エアコンですと上記、4032円。
似た室内気温環境を保つのに、
①は、電気ヒータだけから実測で出した燃費。
②は、石油ファンヒータから実測で出した燃費。
どちらも、偶然ですが電力換算は同じになりました。
それにしても、エアコンは安い! 電気は高いと思いこんでいましたが、灯油が高すぎる??
ただ、絶対に霜取りで停止するエアコンは買ってはいけません。無停止暖房であることを確認しましょう。寒い時に暖まらず役に立たないエアコンを作る3流技術者の根性が理解不能です。
除霜運転 デフロスト運転 defrosting operation
(上のリンク先の記事ではデフロストをデフロイトと間違えています)
なお、細かな事を言えばズバ暖と言えども霜取りは電気ヒータを使っているでしょうから、そこは高い電力を使っています。三菱重工の暖ガンは、部屋に回す熱の一部を霜取りに使っていると言うことで電気ヒータを使っていないかも知れません。どちらが効率的かは実測してみないとわかりません。
エアコンは、灯油燃焼のように水蒸気を出さないので別途電気ヒータ式の加湿器が健康の為、必要になります。ここでは電気ヒータで電力消費が発生します。
注)
電化上手コース(現在、新規契約は停止)
区分 料金(税込)
夏季(7月1日~9月30日)の 10時~17時 39円44銭
夏季以外(10月1日~6月30日)の10時~17時 32円32銭
朝晩時間 7時~10時・17時~23時 26円49銭
夜間時間 23時~翌7時 12円48銭