次亜塩素酸水の怪
次亜塩素酸水と呼ばれるものには似て非なるものがあり、分かりにくいものになっています。
大きく分けて、
1. 電気分解で作るもの
2. 化学反応で作るもの
3. 市販の安い電気分解装置で作るもの
です。1と2は「次亜塩素酸水」と称して売られています。1が本物の次亜塩素酸水です。2は類似品。尤も、食品に添加してもよく、問題はないということです。元々、「次亜塩素酸水」の定義はJISにはないのだそうです。wikipediaによれば、上の写真のリンク先のモーリスは2です。
3はwikiの説明にある「類似品」の「次亜水」だそうです。「塩化ナトリウム水溶液を電気分解して作る」まではよいのですが「主成分が次亜塩素酸」ではなく、「次亜塩素酸イオン」という点が違うのでしょう。
ただし、このどれも広義には次亜塩素酸水と言えるようです。が、後述するように、3は、かなり性質が違うので要注意です。
「
次亜塩素酸水(じあえんそさんすい)は、塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解することにより得られる、次亜塩素酸(HClO)を主成分とする水溶液である。
本品には、強酸性次亜塩素酸水、弱酸性次亜塩素酸水、および微酸性次亜塩素酸水がある[1][2]。
ただし、JISには次亜塩素酸水の定義は2020年3月現在見当たらない。 JIS B 8701では、次亜塩素酸水生成装置の規格をする際の用語として、次亜塩素酸水や飲料水他の定義は述べてあるが、JISとして次亜塩素酸水を定義した訳ではない。
次亜塩素酸水の用語は、狭義としては次亜塩素酸水生成装置から得られた次亜塩素酸を含む水溶液を表している。また、広義としては、次亜塩素酸を含む水溶液全般を表している。
次亜塩素酸水は水そのものが流通するのではなく、生成装置が流通する。そのため、成分規格に適合する次亜塩素酸水が生成されることを担保するため、生成装置の規格(電解物質、隔膜等)が厳しく定められている。(厚生労働省医薬局食品保健部基準課 酸性電解水に関するパブリックコメント平成14年4月)[5][6]
類似品
電解次亜水
塩化ナトリウム水溶液を無隔膜式電化槽で電気分解することで、次亜塩素酸イオン(OCl―)を主成分とし、次亜塩素酸(HClO)を含有する電解水が生成する。物性はpH7.5~10、有効塩素濃度50~200ppmである。次亜塩素酸ナトリウムを希釈したものと同等とみなされ、食品添加物として利用できる(衛化第31号厚生労働省生活衛生局食品化学課長通知)[14]。次亜塩素酸水と同様に、水そのものは流通せず装置が流通する。
次亜塩素酸ナトリウムのpHを調整したもの
次亜塩素酸ナトリウムに塩酸や炭酸ガス等の酸を混合することで、意図的に次亜塩素酸(HClO)の含有量を変化させることができる。混合するための装置などが流通し、その生成物やあらかじめ混合した水溶液について食品添加物の申請は行われていないが、食品添加物である次亜塩素酸ナトリウムと食品添加物である塩酸やクエン酸を混合し、それを用いることは差し支えないとしている。(食安基発第0825001号)」
ーーwikipedia
3を作る装置は安く売られています。
Amazonのサイトです。
しかし、これで作られるものは、市販されている次亜塩素酸水ではありません。幾つかの問題があります。
酸性でなく、アルカリ性
水と食塩で作るのですが、出来た液には食塩が残る。
ですから、空中散布で消臭する用途には不向きです。食塩は塩害という言葉があるように金属を錆びさせます。
漂白作用があり、色が抜ける場合も。
下の評価を参考にして下さい。
VINEメンバー
「
あくまで電解次亜水であって次亜塩素酸水ではないことをきちんと理解すれば納得して使える。
2019年11月23日に日本でレビュー済み
まずこれで生成できるのは電解次亜水です。
次亜塩素酸水と比較して違うのは以下の通り。
・弱アルカリ性
・殺菌能力が劣る(ただし濃度に制限が無いため高濃度化して殺菌能力を同等にできる)
・生成原理上、どうしても食塩水と分離できない。
さて、これらの事実から導き出せるのは金属製品との相性は良くないことと吹きかけたあとは必ず水で拭いたあと乾拭きが必要ということです。
他の方のレビューでも見かけましたが塩残りがあることについては食塩水を完全に電気分解することは不可能なので電解前の食塩水の塩分濃度を下げるかもう一度電解するくらいしか対策が思いつかないです。
また他のレビュアーさんが述べている漂白作用についても全く正しいです。
電解時に発生するのは次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオンですが、
このうち次亜塩素酸は漂白剤としても機能するため漂白作用が起きてしまうということです。
ではなぜ市販の次亜塩素酸水で漂白作用が発生しないかというと有効塩素濃度の違いのせいです。
電解次亜水のほうが塩素濃度が4~10倍(200ppm以上)高いため漂白作用が目に見えるほど起きてしまうという理屈です。
市販の次亜塩素酸水の塩素濃度(20~60ppm)でも厳密には漂白作用は起きていますが反応する前に次亜塩素酸が崩壊するなどして目に見える漂白まで至っていないというわけです。
・布や革、衣類には使わないほうがいい
・洗える靴の消臭には良い
・食塩水を含むので金属には塗布しないほうが良い
・プラスチックや木製のおもちゃの除菌には良い(ただし金属ネジが使われている部分は食塩水の効果で錆びる。)
・食器の除菌に良い(かけたあとにキッチンペーパーなどで拭き取る前提)
・家具を拭くのには悪くない(食塩が結晶化するので乾拭き前提)
・ペットのシーツなどを消臭除菌するには良い
といった感じです。
」
https://www.amazon.co.jp/ベビースマイル-S-905-電解次亜水メーカー-ハイパージア/product-reviews/B07NMW1LC4/ref=cm_cr_dp_d_show_all_btm?ie=UTF8&reviewerType=all_reviews
この種の生成器は、本体価格を安くして送料を高くしている業者があります。要注意です。合計価格が同じだからイイヤと思ってはいけません。そういうコズルイ態度は全般に出ます。トラブルの元ですから買ってはいけません。このサイズで1000円を越す料金なんて宅配便はとりませんよ。金箔で包装するんでしょうかねえ。
こんな固体のものもあります。お奨めです。
ジアテクターP
「次亜塩素酸水生成パウダー 120g 希釈濃度1000ppm 70リットル分 プール除菌剤 塩素除菌剤 ジクロロイソシアヌル酸Na 有効塩素60% 2,980円
- 経済的な顆粒タイプ120g 家庭用プールの除菌はもちろん 空間除菌 ウイルス対策 にも!本品1袋(120g)で、濃度1000ppmの次亜塩素酸水を約70L生成することができます。
- ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム顆粒120g
」ーーamazon
水に溶かすだけで除菌剤が作れる
「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
最後に紹介するのが、ジクロロイソシアヌル酸ナトリム。
私がもっとも大好きな塩素剤です。
特徴としては、
・塩素濃度は約60%
・溶けやすい
・中性
の3つです。
さらに有機系塩素剤の特徴である、
・塩素臭の低さ
・塩素濃度が飛びにくい
が加わります。
「溶けやすくて塩素濃度が飛びにくい。」
それだけでも、非常に魅力的な塩素剤なのですが、さらに中性なのです。
中性ということは、素材を傷めないので、用途の幅が広がります。
」ーー
取り扱いには注意
「
- H272:火災助長のおそれ;酸化性物質
- H302:飲み込むと有害
- H314:重篤な皮膚の薬傷?眼の損傷
- H319:強い眼刺激
- H335:呼吸器への刺激のおそれ
- H400:水生生物に強い毒性
- H410:長期的影響により水生生物に非常に強い毒性 ・・・
」
面白くて役に立つサイト。