「今日、ママンが死んだ」風に、「今日NHKから電話が来た」
Dr.Yの出演番組を他局に提供したいので、と、許諾を求めて来た。
因みに、最初の再放送だけは日本薄謝協会の印税が来たが、以後は無料。
勿論、諾。
Dr.Yの発明は
・人工知能
・仮想記憶
・ビットマップlikeの主記憶と表示装置のリンク
・HTML様の文書のマークアップ構造
・wysiwyg
など。
後に世界中で色々なシステムでバラバラに発明された機構がDr.Yシステムには既に実装されていた。
大学院では、
#Formal Languages and Their Relation to Automata J. E. Hopcroft, Jeffrey D. Ullman
#記号論理学 ノヴィコフ
#J. Alan Robinson. "A Machine-Oriented Logic Based on the Resolution Principle." J. Assoc. Comput. Mach.
#変形文法入門
Paul Roberts (著), 黒田 巍 (翻訳)
などを読んだ。
授業は別。これは自主的輪講。しかも核に過ぎない。
なぜ、こんなに絞られるんだという位、詰め込まれた。週二回の輪講は「魔の木曜日」の午前と午後に集中。頻繁に差し入れられる指導助教授からの米国の最新論文。トップ大学にいる助教授への寄贈論文だ。先進世界から送られてくる論文。この一つとっても、大学の名は重要。
肘を掛けているのはCPUやバス。テーブルではない。
Dr.Yの研究室には当時の花形、電気電子系の学科トップが集まっていた。日本のトップだ。だから、こんな論文漬けでも消化不良にならない。英語だし。当時はドイツ語も院入試では必須。読める。フランス語までは読める。
なお、医学部が興隆してきたのは80年代。
医学部の発展と変容
https://www.niad.ac.jp/media/001/201802/nc006008.pdf
博士課程の院生の主宰する週二度の輪講、研究室全体の輪講、有志の夏休みの合宿。。。スパルタ式だ。笑顔で(^_^)
厳しさの裏には、電気電子系学科の院入試のトップ、つまりは日本のトップクラスを集めている以上、彼らの教育には責任がある。世界に伍していく力を与え羽ばたかせなければならないと言う責任感が教官団に有ったのだろう。
行動遺伝学に従うなら、知能はDNAだけではなく、学友の環境で育つ。
勉強は自分でするものだが何をするかは教えられる必要がある。内容の理解も独学よりガイドしてもらう方が誤解もなく、効率が良い。「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。」と兼好法師も言っているではないか。
ノーベル賞の項で書いたが、テーマ選定も極めて重要であり、師で決まる。
それが、アンチテーゼに発展するとしても、師で決まる。自然科学の法則でさえ、帰納推論で発見されている以上、将来いつか覆される。
将来どころか、現在、正解のない社会科学でさえ、こうだ↓。この項を読むたびに師の巨大な能力にDr.Yは涙を禁じ得ない。
「Weberの主張が正しいことを、私が充分納得したわけではない。しかし、私は、彼の前進をさまたげようとは思わない。又、私の反駁を固執しようとも思わない。老人がすぐ結びついていけないような新しい考えを若い世代はしばしばもつものだ。恐らく、今の場合もその一例であろう。しかし、私がやがて墓場に急がねばならぬ時、「鎗はすでに、我が腕に重過ぎる。我にかわりて、我が子、汝、この鎗をもて」とよびかける相手は、わが敬愛するMax Weber以外にはない。
--Theodor Mommsenの言葉、岩波新書「マックス・ウェーバ」
上のホップクロフト&ウルマンのオートマトンと形式言語、には、整数論の記述があるーー整数の集合には、recursively enumerableであるがrecursiveでないものがある、と。Recursive の一語がわからない。
帰納的可算であるが、帰納的でない整数集合。日本語にしても分からないものは解らない。それで、「recursiveness」を先輩院生と買って読んだ。日本にはこんな本はない。
今もAmazonにある。
resolution principle、一階述語論理の完全性、健全性、ゲーデル数。。。ゲーデルの不完全性定理。。。
一語の理解に一冊の分厚い本が要る。
忙しくて仕方ない。
それでも、日本語になっているから今は楽だ。
ゲーデルの不完全性定理は、薄ければ右側。但し、カントールの対角線論法とか、無限の性質とか、完全性とか、ω無矛盾とか、矛盾とか、一階述語論理とか、modus ponensとかを知っていないといけない。
ーー 林晋 不完全性定理
上の薄い本です。しかし、画像処理は汚いな。OCRで読みましょう。
「
林晋版不完全性定理まえがき:
ほとんど予備知識の無い人が, 入門書だけを読んで不完全性定理の数学的内容を理解することは不可能である。この定理を数学的にも理解したいならば, まず数理論理学を理解しなければならない. そのためには本格的な数理論理学の教科書を読む必要がある. アインシュタインの相対性理論の論文は 「初等的知識」 だけで読めることで有名だが,これは高校までの教育で, この論文の理解に必要な, 代数,解析,幾何,力学,電磁気学などの知識がすでに教えられ, そればかりか,それが入学試験にさえ出題される知識であるために,多くの人が、相当な訓練を受けているからである. これに反して,ゲーデルの定理の理解に必要な数理論理学や集合論は,高校までの教育では,ほとんど教示されない. 大学でも教えられる機会は少ない. そういう知識を補完しない限り,ゲーデルの定理を特殊相対性理論のレベルで理解することはできないのである.
数学のノーベル賞と呼ばれるフィールズ賞を受賞した大数学者小平邦彦が,「ゲーデルの定理を勉強したが, 自分には難しかった.何とか判ったつもりだが, 自信は無い」という意味のことを語ったことがある. 天才と謳われた小平にさえ難しいものが 中学生に容易に理解できるわけはない. 「中学生でも解る」という意味は, 「証明が必要とする予備知識が少ない」 という意味なのである。
しかし, 少ない予備知識を理解して, ゲーデルの定理を理解できる人は,実は微積分や線形代数などの 「普通の数学」 を理解できる人よりも少ない. つまり, ゲーデルの定理は,アクセスはしやすいが登りにくい山なのである.
この定理の意味を理解するには,ある程度の成熟が必要で、筆者たちの経験では, 高校生で理解している人に会ったことはないし、大学院生でもほとんどいない。 専門家の間でも怪しい人がいる. それくらいに難しい定理といえる。
」
人工知能もこの性質を持つ。為に、ろくに知識のない人々が参入して酷いものを作っている。是非、正当な勉強をしてください。でないと、自動運転車など怖くて乗れない。
なお、「『証明が必要とする予備知識が少ない』 という意味なのである。」は、上の林さんの説明では矛盾だと思う。
「証明が必要とする予備知識に微積分などの面倒な概念がなく、四則演算と日常言語で語られる」 という意味なのである。だと思う。
日常言語で語られても、例えば「私は嘘つきです」と言う発話は大問題である。その問題が分かる人でないとゲーデルは理解できないと言うことでもある。
人工知能と論理学
こっちを先に読まないといけない。