人生の設計 子育てと、家と、老後の年金

考えてみれば、人生って大変です。お金が要ることばかり。特に、20代後半から、結婚して、子供が大学に入る20年間程度は、住宅ローン、教育費という大物が重なる上に収入が少ないし、たとえ年収1000万円あったとしても全然楽ではありません。この年収は、一応、富裕層の入口とされていますが、そんな気分ではないでしょう。1500万円程度が下限です。2000万円は欲しいところです。

 

しかし、日本では、通常に、東大、京大の理系を出て楽々とまともな大企業に就職しても、30歳で1000万円なんて無理です。外資系金融業ならあるでしょうが、マフィアみたいなもの。1990年のバブル崩壊、2008年のリーマンショックを思い出してください。みな、やくざな不動産ブローカーと銀行が起こしたインフェルノですよ。日本の都市銀行などは残らず事実上潰れたでしょ。富士銀行も、三菱銀行も、住友銀行も、三井銀行も、東京銀行も、協和銀行も、東海銀行も、なくなりました。似た名前で合併を繰り返した銀行はありますけどね。

良くまとめられた図があります。

f:id:dr-yokohamaner:20190407093753j:plain

ーー池上彰の昭和と平成の変化でわかる日本 テレ朝 

dr-yokohamaner.hatenablog.com

heikinnenshu.jp

 

ふと、思ったのは、昭和の時代には親が保険になっていたこと。住宅ローンと教育と適当なレジャー、教養的趣味に年収を全部使い込んで、貯金がなくても、働き手の夫が急死しても親が保険になってくれていました。親の資産で生きていける。今でも地方の裕福な家庭は3世代同居でこのスタイルです。人間のように子が一人立ちする年齢が極端に遅い動物では、親はその子の面倒を孫が一人立ち出来るまで見なくては生活が安定しないのでしょう。核家族になり子の収入が十分でない20代で親(祖父母)が子育てを終えては孫が育つのは大変です。核家族で都会暮らしで曾祖父母の援助がなかった祖父母自身も裕福ではなく、安い年金暮らし。難しいことです。

 

 さて、そんな徒手空拳の状態でアラサーはどうすべきか。ちょっと考えてみましょう。

 持ち家か、借家か  → 持ち家。
1.今の30歳代では、30年後、間違いなく年金が極端に縮小される。

大京大出ていても、10万円台前半あれば良いかというところ。それに専業主婦の妻の老齢基礎年金を加えても10万円台後半へ行くか?しかも、支給は70歳か、それ以降からになる。団塊ジュニアなど同年代人の200万人が数年続く。それ以降の年代では彼らを支える世代の人口が年100万人以下と少ない。しかも、その頃には半数が非正規雇用。その日暮らし。年金なんて払い込めない。現在でも、50代の半数は払い込んでいないとか。リストラ。現役から払い込まれないから給付も少ない年金で家賃は払えない。

 

人口ピラミッドという言葉がありますが、日本ではピラミッドになっていません。裾すぼまりです。2人かそこらの若手で一人の老人を食べさせる構図。そのうち1人しか正規社員でない。給料の半分を老人の年金にするなんて無理ですね。年金システムは破綻しませんが、「年金で暮らすシステム」は破綻します。これはもう決まっています。事実である人口ピラミッドを見れば明らかです。

    

ja.m.wikipedia.org

   若いうちに家を買う苦労がないと貧困老人になる。

「高齢者は裕福だ」というイメージはもう間違いだ。高齢者が裕福だったのは「団塊の世代」の以前まで。50歳代では5割近くが「国民年金未納」となっており、この先「無年金」や「低年金」のまま退職することになる。10年後には「職なし貯蓄なし年金なし」という三重苦の高齢者が大量発生することになる――。

「情報通信関係に勤務し、昨年定年を迎えたA氏。40代後半から始まった給与の減額は60歳の定年時まで続き、年収はピーク時の半分まで減少した。5年間の定年延長も選択できたが、業務内容はほぼ同様で給与は退職時の半分と会社側に言われ、「自分で仕事を探そう」と、退職の道へ踏み切った。
見込み違いだったのは、会社の業績が悪化していた時期に退職金制度の変更が行われたため、考えていたよりも退職金がはるかに少なかったこと。それでも何かしら仕事に就けば老後の生活はなんとかなると思っていたが、職業安定所や就職媒体、知人のツテなどを使っても、いまだに職は見つかっていない。A氏は、「年金だけでは、老後の生活が成り立たない。いつか、生活保護を受けることになるかもしれない」と暗い表情で話す。」

 

president.jp


2018年。男の年金の平均は16万円。この年金で家賃を払えるのか?

24歳で就職、60歳定年した東大京修士出身工学博士大企業事業部長級で定年した本物のエリートでも、

   2018年現在、公的年金は、

     老齢基礎年金+厚生年金=23万円程度


大企業ではこれにその企業独特の企業年金が付く。それは企業により異なる。5~40万円。大企業製造業では、事業部長級でも10万円前後。JALが倒産する前、幾らだったか調べて見てください。赤字企業なのに法外な金額でした。独占的半官半民みたいな企業が高いようです。それで、倒産したのですけどね。とにかく、普通は、大企業でも年金は多くありません。

 その上、今はもう、確定給付年金ではなく、確定拠出年金という不安定なものになっています。

   確定給付年金とは、毎年の額が決まっていて、企業がくれる年金。

   額が分かっているので安心です。

   確定拠出年金とは、簡単に言えば、利率が決まっていない定期預金

   みたいなもの。多分、毎月、決まった額を積み立てるんでしょう。

   それを、実際には定期預金ではなく、投資信託で運用して将来の年金

   の原資にする。運用に失敗すると元本割れになることも。

 

つまり、年金では暮らせなくなる。家賃なんて年金では出ない。

「将来の年金額が決まっている確定給付型に対し、掛け金が一定で運用次第で受け取れる年金額が変わるのが確定拠出年金(DC)。企業が掛け金を出すタイプのほか、従業員も掛け金を上乗せできる「マッチング拠出」型もある。マッチング型は2012年1月の法改正で可能になった。

確定拠出年金の掛け金の上限は月5万5000円で、従業員が上乗せできるのは会社の掛け金と同額まで。

信託銀行などの試算によると、・・・1人あたりの平均は掛け金が年15万円、マッチング型の上乗せ額が年8万4000円だった。」
ーー日経新聞

 

ちょっと驚くのは、単純に考えると、年15万円を40年掛けて、66歳から86歳まで20年生きると、年30万円の企業年金でしかないですね。月に2万5千円です。たったの。単純じゃなく考えると、運用益ですが、利率は低いままなら上乗せは0同然。キャピタルゲイン狙いでしくじれば減ります!

 

ローンで家を買うと約6000万円。同程度の借家暮らしは約1億1千万円という試算がこのページの下の方にあります。

 

現役のうちにローンで節税しながら家を持つ。

老後は、

    住宅ローンがいらない

    教育費がいらない

    衣料費がいらない

    老後の貯金がいらない

    生命保険もいらないかも

   ので、多少楽にはなるでしょう。

    医療費はふえるかも



2.老人に家を貸す大家は居ない
良い歳して家も持っていないなんて、信用できない。まして夫婦の夫が他界したら通常、妻は貧困老人になる。企業年金は普通、遺族年金はない。本人のみ。妻は急に貧困になる。

それまでは、

    夫の老齢基礎年金+厚生年金+企業年金+妻の老齢基礎年金

  だったものが、

    妻の老齢基礎年金+3/4x夫の厚生年金

11万円くらいが、専業主婦の標準の寡婦らしい。

なかなか実数が分からないでしょうが、東大、京大、東工大出身工学博士で、事業部長級で最近定年し65歳以上になっ先輩たちからの情報では、

    老齢基礎年金が最高値の約65000円(毎年減っています)

    厚生年金が17万円

    企業年金が10万円

    妻の老齢基礎年金が65000円

    計 40万円

 

   夫が亡くなると、

   老齢基礎年金 65000

   遺族厚生年金 17*3/4= 13万円

   計 約20万円

 

日本を代表するエリートでもこんなものです。

大家は、寡婦が遺族年金から家賃を払えるかと考える。家賃滞留。その挙げ句、変死でもされたらその部屋は事故物件になり、借り手がなくなるか、安い家賃になる。貸すのなら若い人が良いと考える。結果、家が借りられず漂流老人になる。

経費の観点から概算した人もいます。


シミュレーションは条件設定をいじればどのようにでも結果を変化させられるので、あまり好まない手法なのですが、「結果はいかにでも変わる」という意味を込めてお示しします。

【共通設定】
 ・現役時代30年、老後は35年と仮定
 ・不動産取得時の諸費用は含まず
【①生涯持ち家派】
 ・新築物件4000万円
 ・固定金利30年ローン 年1.2%固定
 ・固定資産税年10万円
 ・定年時点でリフォーム 予算700万円
  →生涯コスト 6150万円
【②定年時に家を買う賃貸派】
 ・①のローン返済額より安い物件を賃貸(月10万円)
 ・6年に一度住み替えるとして、都度家賃4カ月分
 ・住み替えない場合は2年に一度更新料1カ月分
 ・定年時点で2000万円の物件を一括購入
 ・老後は固定資産税年7万円
  →生涯コスト 6145万円
【③生涯賃貸派】
 ・①のローン返済額とほぼ同額の物件に賃貸(13万円)
 ・6年に一度住み替えるとして、都度家賃4カ月分
 ・住み替えない場合は2年に一度更新料1カ月分
  →生涯コスト 1億699万円


https://toyokeizai.net/articles/-/190544

 

定年退職してからの購入は、子供を賃貸で育てる。還暦して元気がなくなってから家を建てる、持ち家の感動と満足感が若い時ほど得られない、という人間性の観点から面白くないのですが、定年までのどこかで買うと読めばば良いのでは?

toyokeizai.net

 



マンションか一戸建てか → どちらでもよい。予算と教育とのトレードオフ

1. 子供の教育環境が第一

富裕層と貧困層に綺麗に分かれてしまった平成時代。子供を一生バイトの貧困層にしないために、高度知的人間に育てる必要があります。チョット知的な程度の職業は人工知能がやり、人間は要りません。

幼稚園、小学校から高校まで質の良い学校がある所。自分が組めるローンと、質の良い人々が住む場所トレードオフ。学級崩壊している小学校など論外です。カエルの子はカエルですが、カエルの親はカエル。鳶が鷹を産むことはありません。茄子の蔓に胡瓜はなりません。朱に交われば赤くなります。何人かの知人にリベラルな人達がいまして、子供の好きなようにさせ、成人してからその誤りに気付いたのですが、後悔先に立たず。環境を整えてやるのは親の責任です。

 

www.inter-edu.com


2. 人生を子供が大学に進んだ20年後程度と、それ以降とを分けて
考える。

この20年が一番苦しい。

年収1000万円以下では住宅ローン限度は4000万円程度。

この価格では子供の教育に良い環境ではマンションも実は難しい。これは矛盾なんですけどね。日本の最高エリートサラリーマンがそういう人達が住んでいるはずの地域に住めない?まあ、共稼ぎするんでしょうね。夫婦が共に旧帝大大学院修了大企業サラリーマンなら世帯収入は倍になり、30代半ばで2000万円になる。

 

企業も社会も50年も同じとはいかない。東芝やシャープは実質潰れた。

デパートも金融も生き延びられるか怪しい。

役職定年もあるし、定年もある。

役職定年は、50歳〜55歳。平社員になるか、非正規嘱託になるかというようなもの。

年収は7割前後に落ちる。6割かも。で、60歳で定年。それ以降はさらに低収入。
   50年計画など詳細にはたてられない。
   まず、子供に良い教育を受けさせる20年。

   その後のことはその後考える。

 

関東なら東大か東工大。関西なら京大か阪大、それ以外の地方は、近所の旧帝大。以上の、工学部、医学部、薬学部、情報学部(旧帝大に情報学部という名の学部はありませんが対応するところはあります)などの社会のニーズが大きい実学をやる学部に入れてしまえば、もし、家庭に収入がなくなっても、子供は奨学金、家庭教師などのバイトで自活できる。これは大きな保険です。言うまでもなく、大学院修士課程を修了させて、就職。

3. マンションは、20年後に売るつもりなら、都市部の駅前10分
以内でないと高くは売れない。

自分が売る頃には、他の人々も売る頃。同じマンションに沢山売り物件が出ると安くなる。安くなったマンションには、その価格で買うクラスの人が入る。自分が買った時にはハイクラスのマンションでも、格が落ちる。
   
管理人置けないようなマンションは荒れて価値が落ちる可能性も。
 ・布団をベランダに垂らす。
 ・出前のどんぶりを部屋の前に出す。

など。   

親が当てになるなら、孫の教育費は贈与税がかからない。

お孫さんの学費を負担(贈与)するメリット
暦年課税の基礎控除(110万円)と一緒に利用することができる。
孫が幼くとも孫に対する贈与になる
高額な贈与であっても通常必要なものについては非課税となる。私立大学医学部の学費は年間1,000万円を超えることになるが、それでも贈与税は課税されない。
継続的に支出するため、孫に恩恵が大きく感謝されやすい。
孫の人生形成に大きな寄与をすることができる。
孫が無駄遣いする心配がない。

平成25年4月1日以後の学費の贈与について
なお、平成25年4月1日以後の学費の贈与については最大1,500万円の非課税制度が設けられました。金融機関に口座を開設し、教育資金を信託します(1,500万円を超える部分は贈与税がかかります)。その後教育資金として使う度に資金を引き出し、その領収書を金融機関に提出します。
孫や子供が30歳に達したときに預け入れた資金が余った場合にはその余った部分について贈与税がかかります。なおこの制度は期限付となっており、平成31年3月31日までの間に信託されるものに限ります。
祖父母や父母から30歳未満の孫や子への贈与に限られます。」

http://tokyocity.co.jp/sozoku/sozokuzeitaisaku/45/