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東芝が元3社長をいやいやながらも提訴した理由

産経ニュースにこんな見出しがありました:

東芝、旧経営陣を提訴へ 株主代表訴訟提起期限迫り…」
2015.10.25 19:38

 何の期限が迫ったのかと思いましたので、少し調べてみました。

 先に東芝社内で行われたであろう会議の仮想再現を試みました。

 そこにこのように書きました:

「B『しないわけには行かないでしょう。幸い、今の所、株主代表訴訟は国内では起きていませんが、ここでほっかむりをしたら、株主が怒ってどうなるか分かりません。大変危険です』」

 東芝がやらないのなら株主代表訴訟を起こすという事を意味する通知(提訴請求書)は既に奈良の個人株主から東芝にあったのでした。この期限が11月上旬。なんのことはない。それで、東芝は慌てて3人の元社長に対して賠償請求訴訟を起こしたのですね。

 産経ニュースの続きです。
「9月には個人株主が東芝に、歴代役員28人に対し計10億円の損害賠償請求訴訟を起こすよう求めた。東芝が提訴しなければ株主代表訴訟を起こすとしており、期限は11月上旬に迫っている。」
-- 東芝、旧経営陣を提訴へ 株主代表訴訟提起期限迫り…(2/2ページ) - 産経ニュース

 この事については東芝事件株主弁護団のブログに詳しい解説が載っていました。

朝日新聞東芝歴代役員は計10億円賠償を 株主が提訴請求書」との記事について

奈良県の個人株主の方がおこなおうとしているのは,「株主代表訴訟」という種類の裁判です。

株主代表訴訟」というのは,「本来は会社が元取締役などに対して損害賠償の裁判を起こすべきなのに起こさない」という場合だけに認められる制度ですから,いきなり最初から株主代表訴訟を起こすことはできません。

今回,東芝に対して株主代表訴訟を起こそうとしている株主は,手続きとしては,まず最初に,東芝に対して

「あの元取締役は,違法なことをして東芝に損害を与えたんだから,ちゃんと損害賠償請求しろよ」

という要求をおこなわないといけません。

これが,新聞のなかで「提訴請求書」と言われている文書のことです。

 この奈良の個人投資家の動きでやっと東芝は重い腰を上げたようです。

 下記の情報は非常に重要です。株主代表訴訟では、自己の資金を使って訴訟を起こした原告には1円も入らないのです。東芝に入るのです。

 上記ブログの続きで、吉田弁護士は次のように語っています。

なお,報道にある「奈良県に住む株主」の方というのは,私は,おそらく,あの方だろうなあ,と思い当たるところはあります。東芝の件だけではなく,ほかにも,粉飾決算があるたびに,代表訴訟に手広く関与されている方です。
むろん,日本の証券市場を適正化させたいという強い正義感をもっている,立派な方です。
このような方が,日本でもほかにも多くいると,企業も緊張感がありますよね。

なお,「株主代表訴訟」の場合には,元取締役が賠償金を支払った場合,それは全部,東芝に対して支払われます。
裁判を起こした個人株主には,1円ももらえないようになっています。