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薪ストーブの落とし穴

 という番組を先日ニュース番組のトピックスでやっていました。が、良いところーー大変情緒的なもので、論理的、定量的なものではありません。心が癒される、などーーばかりで、最後まで穽の話はありませんでした。多分、スポンサーにマズイと上司にでも言われて削ってしまったので、辻褄があわなくなったのでしょう。

 まずはメリットと言われる最大のものから:

 エアコンとの対比でした。エアコンは対流だけで暖めますが、薪ストーブには輻射があり、遠赤外線効果で体の中から暖まるというものです。しかし、これは採暖といって、体の前面と背面に温度差ができ大変健康に悪いと言うことは電気ストーブの話題でとりあげました。それに、これはエアコンとの対比にすぎません。1/100くらいの燃費コストの石油ストーブでは同じメリットがあります。

 さて、陥穽です

 最大の問題は薪が高いということです。ホームセンターでみると、一把、10kgあるかないかで、600-800円の値がついています。南関東から沖縄までの大平洋側は暖かいので、高断熱仕様の家なら10畳ほどの室温を20℃に保つのに一把で1時間もつかもしれません。お母さんが朝5時に起て、焚き始め、ーー焚き付けがまた大変な仕事です。ファンヒータのようにスイッチ一発というわけにはいきません。朝の忙しいときに!!ーー夜10時に消すとして、17時間、安く見積もっても一万円します。電気代でもこんなにしません。石油とは比べるもなにもありません。

 おまけに薪は場所を取ります。一日分位は室内に置きたいものです。30分ー1時間ごとに薪をくべる必要があるからです。それに1週間くらいのストックを庭におきたいですね。17把X7日=約100把!!! "ウサギ小屋"にはそんなスペースはありません。おまけに6万円!!!!! 

 これをホームセンターから運ぶことも念頭におきましょうか。庭の何処に置くかも。軽トラックを借りて、1トンの薪を運ぶのはお父さんの毎週末の仕事になります。山荘の様な田舎では、原木を買ってチェンソー(すぐにチェーンが磨耗するので交換しながら)で玉切りし、斧か油圧式薪割機で薪割りして自作する人もいますが、ビジネスマンの週末は肉体労働で潰されます。それが癒しになる人は良いのですが…それまでしても、原木もたかいので、薪の10%程度の値にしか下がりません。

 庭に薪をおけば、虫の巣になります。蜘蛛、カミキリ虫くらいは許せても白蟻は困ります。それに薪の間に入った虫はそのまま室内に運びこまれます。これが束をほどくとモゾモゾと這い出てくるのですね。家族がギャーと悲鳴をあげるのは必定です。それで寒風吹き荒ぶベランダで震えなが一人薪の束を解き、防疫よろしく殺虫剤片手に薪をクリーンにしているのです。

 大量に灰がでますから、捨て場も確保しないといけません。庭の片隅に土壌改良のつもりで置ければよいのですが、都市部の「ウギの寝床」では無理ですね。

 煙突掃除を怠ると恐怖の煙突火災が起こります。念のため大きな本格的消火器を置いていますが吹き抜けの天井が燃えだしたら届かないので何ともなりません。プロに依頼します。ン万円でしょうか。主暖房につかえば、毎年か、隔年でしょう。いつぞや、水道トラブルで呼んだところ、都市部で、都市部でですよ、出張料金6000円、技術料5500円、部品代25円をふんだくられました。工学系博士である、Dr.Yは内心忸怩たるものがありましたが、さすがに煙突はむりです。

 Dr.Yは、山荘で暖炉をつかっていますが、20坪以上ある屋根の下に1.5mくらいに薪が積み上がっています。これが鬱の種、癒されるのはなにもしない家族や来客だけです。肉体労働と資本の提供者には鬱以外の何者でもありません。できるだけ薪から目を背けています。この薪、業者に原木から作ってもらったのですが、怖くて領収書を見ていません。こんなときカードは便利です。

 ペレットストーブというものもありますが、所詮、木材を燃料にするものは、現代では超超高コスパになるのです

 薪ストーブは、装飾品であって、実用品ではありません。たまにイベントとして焚くものでしょう。クリスマスイブとか、来客とか。これなら、一回数千円ですみます。