リョーシンのない「リョーシンJV」錠

 富山常備薬グループとかいう地方の小企業があざといTVコマーシャルを打っています。膝の痛みを緩和するということですが、いかにも良く効くと誤解させる口調です。公正取引委員会は何をしているのでしょうか

リョーシンJV」の成分を見ていると、どこにでもあるビタミン剤が主体です

 フルスルチアミンって、武田が大昔に開発したビタミンB1の誘導体じゃないですか。アリナミンをみて下さい。

 パントテン酸カルシウムビタミンB群

 シアノコバラミンは、ビタミンB12。コバラミンは、シアノーより、メチルーの方がよく効くらしく、Dr.Yも以前使いました。膝じゃありませんが。

ビリドキシンは、ビタミンB6のことです。

トコフェロールは、ビタミンE類。

 要するに単なるビタミン剤ですが、これをとんでもない高い価格で売っているのです。初回が半値にできるのも、元々、薬九層倍と言われるように、原材料費から考えると、異常に高い小売価格を付けているからです。

 尤も、新薬は研究開発費が乗っていますので高くても仕方ありません。でないと、新薬が開発されないことになります。こんな薬をどうやって見つけたのだろうという優れた薬品に高い値が付くのは当然です。しかし、どこにでもあるビタミンを、如何にもよく効く特効薬のような、まるでガマの油売りのような講釈で「敢えて、医薬品として開発しました」などというのは、果たして「リョーシン」があると言えるのでしょうか。

 この小さな会社は、シミに効くとこれまたガマの油売りの講釈で単なるビタミンC剤なお、リボフラビンはビタミンB2.尿を蛍光で黄色くします。ニコチン酸アミドもビタミンB群。あとはアミノ酸ですね)を高い値で売っていますが、女性の弱みに付け込んでいるとしか言いようがありません。ビタミンCはシミ、そばかすにある程度効くとはだれでも知っていることです。勿論、この会社の手口として、ビタミンCとは明示的に言わず、上記ビタミンB群を化学名でいったように、「アスコルビン酸」を前面に押し出して、何も知らない人が、すごい薬かと誤解するように仕向けています。アスコルビン酸を誘導体にして更に修飾した名前を使えば、化学に疎い人々は、何事のおわしますかは知らねども忝さに涙こぼるる状態になることでしょう。

 医薬品として開発したのなら、治験があるでしょうから、是非、その効果を定量に示してもらいたいものです。公正取引委員会を警戒して「直る」とは言っていません。「緩和する」と言っているだけですと言い逃れできるようなあくどい講釈にせずにですね。

 Dr.Yは、総合ビタミン・ミネラル剤は、米国出張するとドラッグで300錠9.9ドルというのを買っていました。日本からでも、iherbで買えます。

 

 なお、膝が痛くてどうしようもないという人は、この富山の薬売りのTVコマーシャルにあるように膝の軟骨が減っている場合がほとんどで、変形性膝関節症という病気であって、当然、根治しません。ビタミンで取れる程度の痛みでもありません。ステロイドのような強力で副作用の大きい薬を使って急性の痛みを取ったり、関節液と同じ成分のヒアルロン酸を注入して関節の滑りを良くしたりする対症療法がとられます。

 ところが、最近、根治療法が開発されました東京医科歯科大学の関谷教授が膝関節を覆う膜の幹細胞が半月板を作る事を発見し、その細胞を患者の膝から取り出して大量に培養し、膝に戻すことにより再生することを発見したのだそうです。既に治験的に10例を行い成功。手術と言っても、内視鏡下なので低侵襲で、膝に穴を2箇所だけ開けるにすぎません。

 

 

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