株価の行方

 やっといざなみ景気の頃に戻りました。いざなみ景気が潰れた原因はサブプライムローンに端を発したリーマンショックで、日本が原因ではありません。むしろ、日本の金融業界は固くてサブプライムローンの証券を大して買ってはいなかったので傷が浅く、ドル安円高になってしまったのです。それが輸出産業を直撃し、どれほどの企業がリストラと工場のアジアへの転出を行ったことか。ために、若者の職場がなくなり、60%以下の正規社員という信じられない状況に陥ったのです。

 さて、消費税10%を行うか否かの議論が行われています。Dr.個人の利害から言えば、あと2%程度の物価の値上がりなどどうでもよく、社会保障が本当に安泰になるのであれば、行った方が良いという状況です。が、社会全体の為には、延期すべきだと思っています。

 上げを行った時の最大の問題は、

 ・消費が落ち込み、企業の業績が落ちる

 行わなかった時の最大の問題は、

 ・社会保障費の財源の問題が解決されず、かつ、世界からの信認が落ちる

と言われています。まともな人が見たら、これは比較すべき項目ではないとすぐわかることですが、時間のスパンと確度がまるで異なっているものを比較しています。比較できないものを比較の対象にしているのです。あなたは黒毛和牛のステーキとモーツァルトのどちらが好きだと問うているみたいなものです。

「消費の落ち込みと企業業績の悪化」は、上げると即座に起きる、しかも必ず起きることが明確な事象です。現に8%に上げた影響はいまだに払拭できていません。

一方、「社会保障の財源の問題と日本の信認」の問題は、まだ先の事です。そもそも、日本の信認が落ちる、の確度はどの程度の事でしょう。そんな確度は極めて低いと断言してもよいでしょう。それは、何もせずにいきなり10%上げはやーめたなどと言えば、世界は日本を信じなくなるでしょうが、これだけ議論をし、剰え、黒田マジックのすさまじさを先週は世界に見せつけているのです。つまり、やれることは何でもやるという黒田発言は伊達ではない、本気だと見せつけたわけです。

 以上を鑑みれば、消費税の上げを2,3年延ばす程度なら、社会保障・世界の信認にとって何の問題もありません。

 安倍首相は、延期するのではないでしょうか。それが当然の論理的帰結です。

 というわけで、本日のテーマである株価は年末に向けて上がって行くでしょう。勿論、Dr.は読心術などできないので安倍首相の心中などわかるはずもありませんが、これは論理的帰結です。