官僚の牛耳る委員会の様子:某国オリンピック組織委員会、エンブレム審査委員会の某日の光景(続)

  海外政府機関と行う会議の場合、官僚の容喙は先に書いた場合よりもっと激しく、「あなたは、ここに書いた一言だけでお願いします」というような事になります。さて、東京オリンピックエンブレム剽窃事件の後始末の光景を、講釈師が見てきたように、再現してみましょう。あくまで、推測ですよ。

 

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 事務局長: 審査委員長、困りましたね。優秀なデザイナーということでお願いしたのに、盗用だというじゃないですか。このリエージュのロゴを見ると、これは誰が見ても盗用ですよ。どうしましょう。

 審査委員長: 私も実は困っています。まさか彼がこんな事をしていたとは夢にも思いませんでした。元々、原案も剽窃だったので、注意したのですが、まさか最終案でもパクルとは夢にも思っていなかったのです。しかし、どうみても、まともに同じロゴですねえ。色と、赤丸の付加しか変化がないので、これは難しい問題です。

 事務局長: ただ、リエージュは商標登録していないそうですから、うちの事務がいうには、突っ張っていれば大丈夫だということなんです。著作権侵害で攻めてきても、この程度の単純さでは、なかなか難しいので、突っ張って行きましょうということですが、デザイン界はそれで大丈夫ですか?

 

 もともと事務局長=官僚OBには、エンブレムのデザインなどどうでも良いことなので審査委員長に一任してあったのですが、今となっては自分の責任回避だけが当面解決しなければならない大問題となったわけです。そんなわけで、「突っ張り大作戦」が展開されたわけですね。ところが、くだんのデザイナーのパクリがどんどんと噴出してきます。

 

 事務局長: 審査委員長、今度はサントリーのなんとかバッグのデザインが盗用だと表に出てしまったじゃないですか。これはどういうことでしょう。今回は、パンの焼き目や、木のひび割れまで同じでは逃れようがないということで、盗用を認めてしまったということではないですか。「私はデザイナーとして、パクリというような事は一切いたしません」と大見得を切ったはいいのですが、これでは、あの言葉まで信憑性がなくなってしまいますよ。

 審査委員長:あのサントリーのトートバッグは本人じゃなく、スタッフがやったということで対応しています。ほっかぶりしていれば、人の噂も75日ということで、消えていきますので、ここは静かにしていましょう。

(ということで、ホッカムリ大作戦となります)

事務局長: しかし、その他、どこかの動物園だとか、市のイベントとか、カルバンなんとかというデザイナの時計とか、どんどん盗作疑惑が出ていますよ。このデザイナーは本当に大丈夫なのでしょうか。とにかく、他のデザインはともかく、オリンピックのエンブレムだけは創作だという事をもっと強調しなければまずい事になります。今まで、デザイナー擁護していたタレントとか、TV局まで、自分の身が危ないとなると、恥も外聞もなく、口をぬぐい、手のひらを返して攻撃にまわりはじめましたからね。まったく節操もなにもないんですね、あの低能連中は。TV局には日本の国益を考えて務めて擁護するよう依頼してきましたが、もう守り切れませんよ。ネット炎上を逆攻撃するように、ネット関係のタレントでの擁護を要請していますが、これも消火はなかなか難しいようで。。。何しろ、デザイナー本人が雲隠れしていてはどうにもならないでしょう

 審査委員長: あれは、私が命じたのです。今、出て行っては火に油を注ぐようなものなので・・・そうですねえ。わかりました。原案を公表しましょう。そこから、最終案までの過程を公表してリエージュとは独立に発想したと言えば、かなり説得力があると思います。

 事務総長: しかし、元々、原案が盗用の可能性があったから変えたのではなかったのですか。それはますます不味い事になりませんかねえ。

 審査委員長: 大丈夫です。あれは我々専門家だから見つけたもので、大衆には分かりません。

 事務総長: では、それでいきましょうか。一刻も早い方が良いでしょう。すぐに発表しましょう。

 

 官僚の行動様式、思考様式を鑑みれば、こんな風にして、原案開示となったのではないでしょうか。

 その後、原案もパクリであり、羽田空港を使った展開案も、写真の下に書かれている「著作権表示」を切り取って使うと言う盗用全開の手法で作ったものであることが暴露されて、ついに事務局長もこれ以上、サポートし切れず、自己の責任回避を最重要課題としてエンブレム撤回に踏み切ったものなのでしょうね。クローズドな会議だから盗用しても良いということにはなりません。それを知っていたからこそ著作権表示を切り取ったのでしょう。

 ネットを感情的に攻撃していた一派は、「デザイナが出てきてきちんと説明すべきである」という正論の前に、ヘナヘナと崩れて行きましたし本質を見極めることのできないレベルの頭しかない人間を、マスゴミは重宝して使っているようですが、逆効果でしかありません

 事務総長は一連の騒動が収まった頃を見計らって、健康問題とか、なんとか尤もらしい理由をつけて、静かに退場していくのではないでしょうか。名誉職として引き受けたのでしょうが、とんでもない不名誉を残してしまいましたから気力がそがれます。責任回避など考えずに、もっと早期に果断に対処していれば、名事務総長と言われたかもしれません。が、所詮、官僚OBには無理な話でしょう。西郷南洲の言うような、
命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るもの也。此の始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり

このような人物が現れるのを待つだけです。