EU離脱ドミノ現象は起きるか

 起きないと思います。既にスペインで離脱派は勢いを失っています。すぐに離脱の動きが各国で盛んになるのではなく、まず見守りでしょう。英国で何がおきるかをです。regrexit(離脱後悔)が既に起きていますが、間違いなく経済は停滞するでしょう。移民の抑制や、難民受け入れの拒否と、経済全体の停滞とどちらを選ぶかです。というより、両方を満足できるように残留したままEUと交渉することでしょう。もし、ドミノ現象が起きてEUが瓦解すればEU官僚は失業するわけで、そんなことは彼らは避けたい。EU各国首脳も同様。彼ら自身の懐が痛む可能性を各国は得たのかもしれません。regrexitは、各国にEUとの交渉の札を与えたのではないでしょうか。

 リーマンショックとは、リーマンブラザーズの破綻に付けられた名ですが、実際にはサブプライムローンという破綻しているローン債権を世界中の金融機関が買い込んでいたという実質的な損害が明るみに出てしまったことでした。英国のEU離脱で具体的な損害が今、起きているわけではないので、リーマンショックとは同じ土俵で論じられません。為替と株式市場の混乱は、センチメントによるもの、この混乱を利用して多儲けを企むものなどの、まさに思惑によるもので実害によるものではないので、そんなに深刻ではないのです。それを深刻化するかどうかは、各国政府の今後の政策でしょう。リーマンショックは米国政府がリーマンブラザーズを救わなかった事から起きたことです。サブプライムローンは顕在化せずに、抑えこめたかも知れないのです。明確に米国政府の誤りから起きたことでした。その意味ではいまはリーマンショック前夜と言えるかもしれません。それでも、具体的な損害をどこかの銀行、投資銀行、証券会社、その他の金融機関が受けているのではないので、かなり違うと思います。