これが倒れない訳は、直方体の箱のこの状態を見れば分かると思います。
箱をひっくり返した所↓。下が蓋。きっちりはいっています。突っ張っているのと同じ状態です。この内箱が右に倒れる事ができるでしょうか?倒れる為には、縦の長さ = 高さ より対角線が短い必要があります。それは不可能ですね。直角三角形の斜辺が他の二辺のどちらよりも短いなんてありえません。
下の黒い蓋が部屋の空間としましょう。銀色のラックが倒れている所です。天井を突き破っていますよ。後ろ側の壁も突き破っていますね。
これ以上の説明は不要でしょう。
突っ張るために、グイグイと突っ張り棒のネジを回して天井を突き破りそうになる必要は有りません。軽く突っ張る程度で良いのです。いわんや、バネで突っ張る必要なんて全然ありません。
突っ張るなんて言うので間違える人がいるのですが、ちょうど天井一杯の高さの箱を置いたのと同じことでしょ。倒れようが有りません。
ちょっと計算してみましょう。
天井高240cm スリム棚の奥行25cm とします。
240 x 240 + 25 x 25 = 57600 + 625 = 58225
√58225 = 241.3
対角線は241cmです。
つまり、こんなに薄い棚でさえ、天井に1cm以上突き刺さらなければ倒れません。しかも、上に抜けるのではなく前面に天井板を圧縮するように突き抜ける必要があります。もの凄い力でないとそんな事はできません。その上に後ろには壁があって脚を蹴上げるのを邪魔して転倒させません。
ただ、パーティションのような薄い板を2点で突っ張るものは、ほんとに突っ張る力だけでささえているので、脆弱です。
歩くと、床は微妙に振動します。段々とズレて斜めになりバタンと倒れます。定期的に調整している必要があります。
平面の2点支持と、直方体の4点支持とでは支える原理が違うのです。
この棚↓は、左が壁ですから右にしか動けません。
もし倒れるなら右下の足を中心にして上側が円弧を描いて倒れるしかありません。その半径は対角線になります。後ろの突っ張り棒は天井に横から食い込むようにして倒れて行くほかありません。天井が薄いダンボールでも、この横方向の力には結構耐えますよ。赤色の部分を圧縮して倒れるのはなかなか骨です。まして合板でできている天井なら突っ張り棒は動きようがありません。
天井
壁 床
問題は突っ張る力よりも、この棒は恐らく継ぎ手で繋いであるので、そこのカシメが弱いとストンと落ちてしまうことです。上下の突っ張り棒は良くネジを食い込ませておきましょう。
このネジが重要です。
実は前側の突っ張り棒って要らないのですね。現に、後ろにしか付いていない製品も有ります。まあ、突っ張っておけば直下型で上下動する地震には多少の役にはたつでしょう。