#加湿した水蒸気はどこに行ってしまうのか?
結露はなく、気密が破れている場合を概算します。つまり、どの位の速度で、水蒸気が部屋の隙間から逃げて行くか?です。驚きの高速度です。
wikiで水蒸気の速さを調べます。速いですよ。
「一般的な気体の室温における熱運動速度
20 °C (293 K) における一般的な気体の平均熱運動速さは以下のようになる[1][2]。
水素 1754 m/s
ヘリウム 1245 m/s
水蒸気 585 m/s
窒素 470 m/s
空気 464 m/s
アルゴン 394 m/s
二酸化炭素 375 m/s」
ーー
例によって、暗算できる概数計算。
部屋の大きさ:5m x 4m x 2.5m
床平面は = 20m2 ≒ 12畳
一般的なLDKでしょう。
天井高は普通2.4mですが、面倒なので2.5m。この直方体内部の最大線分の長さ:約7m
ここ↓だけが、空気の出入りがある箇所。
高気密室のドアの上下の隙間合わせて:1m x 0.02m
で、水蒸気は、この0.02m2の隙間から、どのくらいの早さで逃げて行くのでしょう?
水蒸気分子の速さを585 m/sとすれば、直進できれば、1秒間に最低でも585m/7m ≒ 80回は壁、天井、床に衝突します。しかしながら、残念なことに分子同士の衝突を考慮すると平均自由行程は小さな物なので、この仮定は成り立たちません。80ではなくN回とします。
酸素(水蒸気の場合が分からないので、これで近似)の平均自由行程は、8x10-8 m。つまり、隙間のこの近傍にある酸素分子は秒速約500mで出ていきます。その後に、その近傍にいた分子が入ってきます。この連鎖反応の速度が分からない。。。
部屋の隙間の割合は、
床、天井ともに:20m2 合わせて40m2
壁:5 x 2.5が2面、4x 2.5が2面 合わせて:45m2
床+天井+壁合わせて:85m2
隙間は、0.02m2 なので、0.02/85 = 2/8500 ≒ 1/4000
隙間の割合って高気密室であっても、意外に大きいのです。
水蒸気分子が、1秒間にこの隙間に入る割合は、N x 1/4000
1回入るのに掛かる時間は、逆数にして、4000/N 秒
水蒸気分子は、この時間で出ていってしまいます。その分、外気が入ってきます。
実測で、1時間=3600秒≒4000秒
で加湿分が無くなってしまうのなら、N≒1つまり、直進の80倍掛かっているといことですね。
N = 80の場合、つまり、分子が自由に飛び回れる状態の場合、50秒で出ていきますから、早いものです。ロートに大豆を一粒落とすと、いきなり出ていってしまいます。そこに山の様に大豆を入れるとひしめき合って直ぐには出ていけません。振ってやるとーー分子の熱運動の代わりーー、それでも結構な早さで出ていきます。そんなイメージなんでしょうね。
幾ら、加湿しても、どこかに行ってしまうのは、高気密室であっても、この小さなドアの隙間なんでしょう。
そう言えば、ストーブを焚いている時、時々、2〜3分窓を開けなさいと言われます。たったの2分で良いものかと思っていたのですが、良いのですね。
尚、思わぬ思い違いがあるかも知れないので、気が付いたら、今後、修正します。
この↑記事で、
「10℃で、湿度35%の場合、 3gx38m3 → 114g
の水蒸気が室内の空気中にあります。
20℃で、湿度50%の場合、 8.6g x 38m3 → 327g
というわけで、327gー114g = 213gの水を蒸発させればよいのです。
目安は、一晩で
10畳で200CC。6畳で120CC。」
と書きましたが、まあ、ざっと10分で全部出ていってしまうので、「一晩で」は間違いです。「10分で」です。
10畳なら1時間で1リットル程度を加湿でしょうか。実際の状況を考えれば、納得行く数字です。