新型コロナウィルスの詳細が分かる記事

ぜひ、全文を読んで下さい。

 

wired.jp

 
ウイルスはまず、表面にある突起状のスパイクたんぱく質を、宿主細胞のACE2受容体にぴったりと結合させる。すると、細胞膜にあるたんぱく質の分解酵素「TMPRSS2」や「FURIN」が、ウイルスのスパイクたんぱく質を適切な位置で切断し、ウイルスと細胞の融合を助ける。

COVID-19の患者のなかでも高血圧の人が重症化しやすい理由のひとつに、ACE2が血圧を調節するために重要な受容体であることが挙げられている。ウイルスが先に侵入してしまうと、その役目を果たせなくなるのだ。

またTMPRSS2は男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体でもあり、その発現量は男性に重症化する患者が多い原因となっている可能性も疑われている。FURINについてはCOVID-19に関連する研究論文がまだ少ないのでここでは割愛するが、FURINは肺組織や気管支の一部の上皮細胞で発現しており、ACE2/TMPRSS2の組み合わせだけよりも潜在的に25パーセント以上の細胞を感染させやすくしている可能性があるという。

また、ACE2の発現量は、運動や喫煙によっても上昇することがわかっている。心疾患、高血圧、慢性閉塞性肺疾患などの持病もちの人々も、肺のACE2発現量が上昇するという。

新型コロナウイルスは、基本的にACE2とTMPRSS2(またはFURIN)の両方が発現している組織の上皮細胞に感染する傾向にある。COVID-19の患者の多くに症状が現れる気管支や肺は、これら2つの受容体が発現している組織の主な例である。


英国と米国での感染が広まっていくうちに、比較的若い患者の重症化も報告されるようになってきた。両国の医師たちによると、集中治療室(ICU)に運ばれる患者はたいてい肥満の男性だという。

世界各国の肥満率を見ると、中国は6.2パーセント、イタリアは19.9パーセント、英国は27.8パーセント、米国は36.2パーセントとなっている。ちなみに日本の肥満率は4.3パーセントである。

英国の大学の調べによると、73パーセントの(集中治療室に運ばれた)重症化患者は男性で、73.4パーセントが肥満だったと伝えられている。また一部報道によると「人工呼吸器を付けている50歳未満の患者の90パーセントは肥満」だという。この性差とBMI(体格指数)は特筆すべきものだ。

反対に世界的な傾向として、持病をもたない65歳以下の人々は、男女ともに感染しても死亡リスクは非常に小さいことが報告されている。

米国でも18歳以下の子どもは新型コロナウイルス感染症において、大人よりもはるかに軽症であることが報告されている。子どもたちの症状は軽いだけでなく、実際にCOVID-19であると診断される可能性も低い。2月12日から4月2日までの記録によると、18歳未満の子どもたちは米国の人口の22パーセントを占めるにもかかわらず、COVID-19の患者はわずか1.7パーセントだった。

しかし、子どもや若者でも重症になるケースがないわけではない。その場合、ぜんそく、心臓病、免疫力の低下(例えば、がん治療など)といった基礎疾患のある患者がほとんどだという。


軽症と重症化の明暗が分かれるのが7~10日目である。軽症の患者はそのまま快方に向かうが、重症化する患者は少しだけ気分がよくなったあと、突然悪化する。サイトカインストームが起きるのだ。

COVID-19の重症化は、ウイルス自身が原因というわけではない。自己免疫によるサイトカインストームが肺をはじめとした複数の臓器で炎症を引き起こし、患者自身を死に至らしめると考えられている。免疫システムの暴走や、酸素不足と広範囲に及ぶ炎症は、腎臓、肝臓、心臓、脳、その他の臓器にもダメージを与えるのだ

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 それで、多臓器不全になる!

 

 

 

新型コロナウイルスのウイルス学ーー慈恵医大

 

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新型コロナウイルスの場合は、図1に示すスパイク蛋白を使って細胞に侵入します。そして、スパイク蛋白はウイルスの構造に深く突き刺さっているので、エンベロープを破壊しても取り去ることができず、完全には感染性を失いません。・・・
  このため、新型コロナウイルスの消毒には、スパイク蛋白を変成することができる70%以上のエタノール次亜塩素酸ナトリウムを使用する必要があります。一般的に使用されている消毒液にはエンベロープの破壊を目的に、低濃度のアルコールと界面活性剤を配合したものもありますが、新型コロナウイルスの場合は感染性を完全に無くすことはできない可能性があります。

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このウイルスは遺伝子がRNAで出来ているので・・・遺伝子の抽出に高度の技術が要求され、PCRの前に逆転写と呼ばれる余計な操作を行う必要があります。このことは、新型コロナウイルスの検査がなかなか進まなかったり、粗悪な診断キットが生まれたりする原因となっています。

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RNA依存性RNAポリメラーゼは、ヒトの体には存在しない酵素なので、この酵素を阻害すること自体はヒトの体に害を与えることはありません。このため、副作用のないRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬の開発が理論上は可能です。

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現在、新型コロナウイルスに対するワクチンの開発が進められていますが、そのほとんどは、注射によって体内の新型コロナウイルスに対する中和抗体IgGを産生させるもののようです。注射による中和抗体IgGの産生が感染防止には役立たない・・・。ただ、新型コロナウイルスの場合は、血行性に全身に広がることで重篤な症状を生じると考えられています。血行性のウイルスの広がりには、中和抗体IgGは有効ですので、新型コロナウイルスのワクチンは、感染は予防しないが重症化は防ぐといったものになりそうです。」