投資の非勧め 再度

 りそな銀行の20代行員が、3人の客から個人的に1億5千万円を預かってFX(外国為替証拠金取引)で消失させ、今年1月に自殺していたと報じられました。

 当然と言えば当然の帰結です。ほとんど経験のない、従って、国際政治、経済・金融に関する現実的知識のない20代の人間がFXで儲けようなんて信じられません。

 相場は、神様にしか予見できません。つまり、宇宙の如何なる存在にも必ず勝てる保証はないのです。FXではレバレッジを掛けます。10倍のレバレッジを掛ければ、1億5千万円で15億の取引ができます。そこで10%の損失を出せば、元金は一瞬にして消失します。

 おとなしく元金だけで取引していれば、10%損失を出しても、1億3千5百万円がまだ手元に残るので、賢い人間なら、そこからの挽回も可能でしょうが、レバレッジを掛けて期限のある10倍もの借金で取引していてはそうはいきません。

 賭けで勝つ方法は一つしかありません。勝つまで止めない、これだけです。しかし、期限付きの借金ではそれができません。この行員は最初から高確率で負ける状況で、まさに一か八かの賭けをしたのでしょう。

 勝つまで止めないですむ手段は、遊び金を使うことです。下がったら持ち続ける。上がるまで持ち続ける。これだけで良いのです。プロは、こんなことをすると、運用効率が悪くなるので損切をして売ってしまいます。損を出しても、次に、少し少なくなった金で、損を取り戻す以上に儲ければよいという戦略です。DR.はその戦略を取りません。積立貯金だと思って塩漬けにします。尤も、株の場合、会社がつぶれてしまうと元も子もなくなるので、そこだけは手堅く確認します。今後50年間、99.99%は大丈夫だと思う、あくまで思うにすぎませんが、会社の株しか買わないのです。これで、金額にして97%の勝率です。3%は塩漬けのままです。つまり、持ち株総額を100万円とすると、3万円分だけが塩漬け状態ということです。この程度なら、もし、この株が紙切れに化しても痛くも痒くもありません。この方法をとれないのならリスクを伴う投資は、必ずリスクを被る側になるハメになると思ってやらない方が良いのです。

 しかし、それにしても、そんなことは不可能なんだから止めなさいと諭すべきだったにもかかわわらず、20代の嘴の黄色い若者が、高利率で稼ぎ出すと信じて数千万の資金をポイと任せる人たちの頭の構造はどうなっているんでしょう?オレオレ詐欺振り込め詐欺で騙される人々と同じ構造なのでしょう。