デザインの本質について:東京オリンピックエンブレム問題

 知的財産の本質を四捨五入して言えば、コンセプトと、その具現化の二つにあるといえます。特許やロゴはこの2つが微妙に構成されていて、まずは、コンセプトが先行し、その後、具体的なブツになると言えましょう。一方で、文章は、具現化された文そのものが重要でしょうね。コンセプトは「悲恋」であるとして、このコンセプトを知的財産権として守っては、誰も悲恋について小説を書けなくなります。実際の文章が重要です。

 東京オリンピックのエンブレムはリエージュ劇場のものとはコンセプトが違うので、全然似ていないと、パクリの作者は言っていますが、具現化したものが酷似していては、そんな言い訳は通らないでしょう。

 前回、東京オリンピックのエンブレムを只で使う方法という事を書きました。さて、以下のようなDr.Yのエンブレムを作ったとして、コンセプトが東京オリンピックのものとは違うので、全然似ていないとDr.Yが強弁したとしたら、読者は許すでしょうか。

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 これらは東京オリンピックとは全く関係ありません。ベルギーリエージュ劇場のロゴにヒントは得ています。一部要素で似ているところはありますが、「横浜の花」シンボルが基本的なコンセプトになっているので、リエージュ劇場のものとは考え方が全然違います従って、Dr.Yには全く異なったものに見えます

 金や銀は、日本人が昔から貴重なものと考えている基本色です。童話にも「お星さま キラキラ金銀砂子」とある位ポピュラーなものではないでしょうか。東京オリンピックのエンブレムと同じ?それはこんなにポピュラーな色ですからねえ。偶然なのでしょうねえ。東京オリンピックのエンブレムなど見る前から、このデザインを考えていたので、配色は偶然としか言いようがありません。

 更に、スペリングも敢えて間違えてあるので、これは英語とは言えないですね。大文字と小文字の使い方も英語の用法とは異なります。オリンピックのエンブレムのように英語は使っておらず、従って、まるで異なったものなのです。

 そもそも、エンブレムの下半分は、リエージュ劇場とも、東京オリンピックのものとも、文章自体がまったく異なっていて、デザインの半分は完全に似ていないと言えるのではないでしょうか

 2番目の物は東京オリンピックエンブレムと一部要素が似てはいますが、「横浜の花」が入っているので全然違うものに見えますね。リエージュ劇場のエンブレムに日本の象徴である日の丸と、横浜市の象徴の花を加えてあるので、東京オリンピックエンブレムとは何の関係もありません。コンセプトも外観も一部要素は似ているものの全然違うものに私には見えます。

 3番目の物は、羽の色も全然違いますし、色自体も、水戸黄門の印籠のように古色を帯びさせるために擦れさせていて、それ自体、高度なデザインコンセプトになっているので、東京オリンピックのエンブレムとは似ても似つきません

  さて、皆さんはこの三百代言の逃げ口上をどう思われたでしょうか。