働かないオジサンというのだから40歳台の無職者かなと思って読み始めました。ここの所、大きな殺人事件は事実上すべて無職者によって起こされています。
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5人刺され死亡 40歳男を逮捕
3月9日 15時24分
9日朝、兵庫県淡路島の洲本市の2つの住宅で、50代から80代とみられる男女合わせて5人が刃物で刺されるなどして死亡しているのが見つかり、警察によりますと5人全員の死亡が確認されました
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警察は、現場近くの路上にいた無職の平野達彦容疑者(40)が事件に関わったことを認めたことなどから、殺人未遂の疑いでその場で逮捕しました。
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日本のバブル崩壊は1990年の株式市場崩壊から始まりました。企業が採用を絞り始めたのは1-2年後の1992年頃でしょうか。1970年生まれの団塊ジュニアの先頭組は22歳になっており、まともに就職氷河期にあたってしまったのです。今は45歳になっています。そこから失われた25年の間、就職はずっと氷河期にあります。つまり、45歳以下の大卒の人々は4割近くが就職できずに無職になってしまっているのです(バイトはしているでしょう)。進学しなかった約50%の人たちも無職が更に多いはずです。
「働かないオジサン」はそのような層の事かと最初思ったのです。そして、「小人閑居して不善をなす」ことになるのだろうと。
ついでながら、45歳前後以上ー60歳までの人は滑り込みセーフかといえば、こちらはリストラの嵐に吹きまくられて無職になっている人も多いと思われます。基礎年金が出る65歳まで雇用してほしいと政府は財界に依頼していますが、企業そのものの存亡の時にそんな高齢者を雇っている余裕はありません。大手企業では役職定年という名の下で、55歳で昨日までの管理職を平に落とし、誇りを奪われた人々が辞表を出すことを期待し、かつ、実際にそのようになりました。
さて、表題の話です;
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日本企業の人事メカニズムを解説した新書『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』(新潮新書)を4月に刊行したサラリーマン兼著述家の楠木新(あらた)氏(60)は、大手生命保険で人事畑を歩んだ自らの経験をもとに、そう語る。
書名は、多くの若手会社員が一度は不条理に思う事態。だが、これは長期雇用を前提にした新卒一括採用制度を取る以上、必然的に出てくる問題だという。「新卒者は能力や技能よりも、まず会社のメンバーとして一緒に気持ちよく仕事ができるかを基準に採用される」。白紙状態で入った後は社内で教育され、同期入社組と横並びの年功昇給を重ねながら全員が管理職ポストを目指して進んでいくモデルだが、「問題は管理職登用という選抜によるピラミッド構造が始まる40歳前後。ポストを得られなかった人が意欲を失ってしまうために“働かないオジサン”が発生してしまう」。
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今野代表は、諸外国と比べた日本企業の特徴は、企業の命令権の強さだと指摘する。「命令権の強さはそのままで、手厚い福祉や雇用保障を切り捨てたのがブラック企業」
この分析に対し、濱口氏は「たしかに日本型雇用にはブラック企業になりうるDNAがある。ただ、(定年までの雇用保障や年功賃金といった)それを発現させないためのメカニズムがかつては働いていた」と語る。「無制限に働かせはしたが、決して使い捨てにはしなかった。社員を安心してフルに働けるようにするという点で、欧米よりも社会の競争力を高める効果があったのも事実。単純に日本型雇用が悪いという話ではない」
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「働かないオジサン」はなぜ生まれるのか…世界的に特殊な“日本型雇用”:イザ!
実際、大手の社員は口をそろえて、うちはブラックだという事でしょう。勿論、「決して使い捨てせず、定年まで雇用保障、年功賃金」は確保しています。この場合の「ブラック」は労働時間だけのことです。いつか、月残業100時間でウツになったとして裁判を起こし勝訴した地方公務員だったかが居ましたが、あれでは戦後日本を支えてきた東証一部225企業の社員は全員ウツになっていたことでしょう。裁判官を含め、公務員というのは気楽な稼業だなあと思った事件でした。