「格差が拡大している」の意味

 よく、気軽にこのタイトルのような言葉が使われますが、そう言っている本人は本当にその意味を考えたことがあるのでしょうか。Dr.には意味が良くわからないのです。

 何も考えることのない頭で、漠然と思うのなら、金持ちと貧乏人の収入の差が大きくなったという事になるのでしょうか?(この他にも、人数というパラメータがあるのですが、ここでは捨象します)

 金持ちの年収をa 、貧乏人の年収をbとしましょう。

  1年前の(a-b)<現在の(a-b)

という事なのでしょうね。

 しかし、このような不等式が成り立つ原因として、主に次の複数の場合があるのです:

 1) aが上がり、bが下がる(金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏に)

 2) aが上がり、bは不変 (金持ちはより金持ちに、貧乏人は変わらず)

 3) aが不変で、bが下がる(金持ちは変わらず、貧乏人はより貧乏に)

 このほかにも「aが少し下がり、bが非常に下がる」とか「aが非常に上がり、bが少し上がる」などという場合もあります。「格差が拡大」と言っている人々は、どの場合を想定しているのでしょう?どうせ世の中はバカばかりだから、そんな厳密なことなど言わずに、雰囲気だけでいいのだと舐めているのかも知れません。

 問題があるとすれば、bが下がる(貧乏人がより貧乏になる)場合だけでしょう。その場合でも、3)(金持ちは変わらず、貧乏人はより貧乏に)の場合なら社会全体が不景気なので仕方ないと言えます。が、現在の状況はそうではなさそうです。

 「aが非常に上がり、bが少し上がる」の場合など、何の問題もありません。社会全体が総じて上がっているということなのですから。「少し」か「非常」かは、努力の差でしょう。

 現在の状況は恐らく2)(金持ちはより金持ちに、貧乏人は変わらず)の状態なのでしょう(円安で実質の収入が少し下がっている場合もありますが)。だとしたら、景気が良くなっていると考えられます。社会全体が良くなれば、bもそのうち、上がって行くことになる可能性は高いと言えます。格差になんの問題もありません。賃金上昇の時差があるのは当然のことですから。

 

 ところで、6軒もの建築中の家に放火した22歳の男が逮捕されました。報道によれば、なんとこの男、小学校か中学時代から既に放火を繰り返していたとのこと。

「東京都多摩市で建築中の住宅が相次いで放火された事件で、警視庁は30日、東京都日野市百草、無職粕谷聡容疑者(22)を非現住建造物等放火の疑いで逮捕し、発表した。「ガソリンをまいて火をつけたことは間違いない。むしゃくしゃしていた。他の建築中の家にも火をつけた」と供述しているという。
」-- 新築中の家に放火容疑、男逮捕 東京・多摩の連続不審火:朝日新聞デジタル

 2014年11月30日21時44分

 この手の人間(なのか猿なのか)について、「格差が拡大」は適用されません。それを端的に示す面白いブログを見つけました。


『「頭が良くて理解力があって我慢強くてスキルがある若者」が異常に増えた一方で、「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」も異常に増えたように思います。

この大量にいる「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」が仕事が無くて、貧困に陥っている場合、どう支援すればいいのでしょうか?

教育が悪いのか、企業研修がショボいのが悪いのか、若者の親が悪いのか、少子化がわるいのか、ゆとり教育が悪いのか、原因はわかりません。

彼らの望む「自分らしさ」「高収入」「やりがい」「将来性」「時間的ゆとり」をすべて満たせて、彼らの能力で遂行できる業務が地球上に存在するのかと思います。

     ・・・

さらに、人口が減り、少子高齢化なのに、「頭が良くて理解力があって我慢強くてスキルがある若者」と「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」に二極化してきました。

さらに、テクノロジーの進化で、業務内容が、超高度なスキルか単純作業の二極化していったように思います。

要するに、5%のすごい頭のいい人の高度な上流業務と、95%の下流業務の世界になってきたのです。

      ・・・

「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキルな若者」がマクドナルドの本社や、Amazonの本社で働くのは難しいです。しかし、彼らは、マクドナルドのアルバイトや、Amazonの倉庫で働きたくないです。当たり前といえば当たり前なのですが、これが人手不足の原因ではないかと思います。

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』 -- http://blogs.bizmakoto.jp/fukuyuki/entry/20969.html

 

 

 「頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキル」のうち、何ともならないのは、「頭が悪い」という遺伝的性質だけでしょう。それをカバーするのが学校教育であり、残りの性質も家庭教育次第です。それで、スキルがある人間に仕立て上げられてきたのが、明治維新~40年代~60年代生まれの子供たちではないでしょうか。日本はそれで明治維新第二次世界大戦の荒廃から立ち上がってきたのです。「おしん」は綺麗ごとではありません。

 尤も、60年代生まれの50歳代も受難の時代ではありそうです。


具体的に自殺統計を見るとこんな感じです。統計的にオッサンばっかりです。

(1)自殺者の7割が男性(おい!)。
(2)自殺者の7割が40歳以上。50代が中心。つぎは60代。
(3)自殺者の6割が無職
    ・・・
そして、50代がいちばん多いです。たしかに、自殺しようとしている独身50代鬱病童貞職歴ゼロ加齢臭MAXのオッサンに「生きてれば、いいことあるよ!」と言っても、「ねえよ!」と返されそうですし、残念ながら、ぼくも次の言葉が見つかりません。

ちなみに、統計を見る限り、無職の次に、よく自殺するのが、自営業だそうです。フリーの皆さんはメンタルに気をつけましょう。
』 -- http://blogs.bizmakoto.jp/fukuyuki/entry/4983.html

 そして、次の結論に至っています:

ぼく個人の感想ですが、日本に自殺が多い本当の理由は、オッサンの居場所も仕事も無いことだと思ってます。若者が生きづらいとかそんなのは関係ないです。それより、無職のオッサンが生きづらいのです。 -- http://blogs.bizmakoto.jp/fukuyuki/entry/4983.html

 20代、30代の頭が悪くてワガママで我慢できなくてノースキル」の人間は結局、甘やかされ続けて生きてきたということかも知れません。彼らにはまだ働いている親があり、働かなくても衣食住が与えられているので、自殺もせずに済み、小人閑居して放火をしているということなのでしょう。50代になると親もなくなり、無職では生きていくすべがなくなるということでしょう。

 「日本に自殺が多い本当の理由は、オッサンの居場所も仕事も無いことだと思ってます」は考えさせられる言葉です。アフリカやインド、中国の田舎、バングラデシュ、あるいはベネズエラなら、あるいは考え方により米国の一部の社会もそうでしょうが、皆が超貧乏な生活で、同一状態なので、居場所もあり、生きていけるかもしれません。

 格差と言えば、日本では一億総中流という、むしろ、格差意識がないのが「自分だけ不遇」感を生み、問題なのかもしれません。